春を飛び越して?夏野菜の報告

色々野暮用が重なって報告をサボっているうちに、2月初旬に苦戦した冬野菜の現況報告!で更新を行ってから約6ヶ月が経過してしまいました。1月末、2月初旬の大雪(東京地方)から一転して、春は急速に訪れ今年の桜は3月中に満開を迎えました。暖かくなれば野菜類は順調に育ち、フキノトウから始まって葉物野菜は豊富に収穫できました

春野菜
春野菜

中でも「春大根」は例年になく良い出来で、1コンテナ当り3本、3コンテナで9本の収穫があり、2ヶ月ほど大根料理を豊富に楽しむことができました

春大根の収穫_5月27日
春大根の収穫_5月27日

3月からいつも通り室内で夏野菜の苗を育て、4月中には屋上で栽培を始めました。例年と違って冬から春にかけて寒暖の差が激しかった(←温暖化の影響?)ためか、害虫類は心なしか少ないような感じがしました。特にアブラムシの被害が殆ど無かったので助かっています

今年の梅雨明けは、何と6月29日でした。気象庁の観測史上初めてだそうで、これも温暖化の影響か、はたまた黒潮の蛇行が原因か、中長期の気象予想は優秀な気象予報士の予報や、スーパー・コンピューターの予報もやや信頼性に欠けるような気がします。先週末からの西日本豪雨災害も、予測精度の向上に大金を投ずるだけでなく、保安林の整備(参考:森林経営管理法が成立しました!)、非常時におけるリスク管理(参考:災害のリスクについて考えてみました)の強化を、大災害を経験していない地方を中心に真剣に取り組んでいくことが重要であると感じる今日この頃です

拙宅の年間を通じての基本的な野菜は、冬場は白菜、長ネギなどの鍋材料(苦戦した冬野菜の現況報告!)、春から初夏はタマネギ、ジャガイモ、ネギ類、初夏から初秋まではトマト、ナス、キュウリです。以下、これら基本野菜を中心に収穫状況、栽培状況を報告します

タマネギ、ジャガイモ、ネギ類の収穫について

1.タマネギ;
タマネギは、前年9月の種まき、11月の植え付けを経て、5月に収穫を迎える長丁場の栽培ですが、今年は苗が順調に育てられた結果、5月の収穫はほぼ想定通りでした

タマネギの収穫_5月20日
タマネギの収穫_5月20日

紫色のタマネギは生食用(主にサラダ)、所謂タマネギ色のものは料理用に使います。収穫後、屋上倉庫の軒先で2週間以上乾燥させたものを保存して食べていますが、今年も秋口までは買わないで済みそうです

2.ジャガイモ
ジャガイモは、1月に入ってから売り出されている種芋を買い、2月末に植え付けました。今年は「北あかり」と味の良い「インカのめざめ」をほぼ同量植え付けましたが、「北あかり」に比べ「インカのめざめ」は収量が少ないことが分かりました

ジャガイモの収穫
ジャガイモの収穫

育て方や気象条件も関係すると思いますが収量を犠牲にしても味を重視している品種なのだと理解しています(値段も高い!)。因みに、以前植えていた「男爵」と「メイクイーン」は、収量は多いものの、味は「北あかり」、「インカのめざめ」に劣るというのが我が家の結論です。ジャガイモについても秋口までは食べられそうです

3.ネギ類
我が家のネギの需要は半端ではないので、相当力を入れて栽培しています。昨年9月頃に種を蒔いたネギは、長ネギ、葉ネギ、九条ネギの3種類です。長ネギ、九条ネギは2月末頃に大きなコンテナに植え替えて栽培しましたが、九条ネギは理由がよく分からないのですが失敗しました。葉ネギは植え替えないで、ある程度育ったところで根元で必要量だけカットして食べています

葉ネギ
葉ネギ

長ネギは収穫期に入っています。栽培コンテナは標準の小さなコンテナに10本程度植え付け、成長するに応じて土を追加していきます(白い部分を長くする為)。都合3回程度土を追加すれば食べ頃の長さのネギになります。10コンテナ栽培しており全部で100本となりますが、これも秋口までには食べ終わると予想しています

長ネギ
長ネギ
今年の夏野菜で工夫したこと

1.ナス、キュウリの乾燥対策
昨年のブログ(初夏から夏へ!)で紹介しましたが、ナスやキュウリ(乾燥するとすぐ弱る!)のコンテナに、底をカットして側面に小さな穴をあけたペットボトルを埋め込み、灌水がコンテナ内部に及ぶような工夫をしました。それなりの効果がありましたが、土の表面からの蒸発量が半端ではなく酷暑の時には水不足に陥ることもありましたので、今年はペットボトル給水器に加え、落ち葉や野菜の剪定屑を乾燥させて苗の周りを覆うことを試みています

ナス・キュウリの乾燥対策
ナス・キュウリの乾燥対策

元々、野菜栽培の教科書には、表面からの水分の蒸発を防ぎ、土の温度が極端に上がらないようにするためにワラを敷くことを推奨しています。しかし、ご存知の方も多いと思いますが、ホームセンターでワラは非常に高価なものになっています。恐らく、イネの栽培の機械化が進み、コンバインで刈り取った後、自動的にワラをカットし田んぼに漉き込んでいる為だと推察しています。昔はワラ付きで天日干しをし脱穀するので大量のワラが余ったのですが、、、

2.キュウリの強風対策
昨年の栽培時も苦労しましたが、キュウリは葉が大きく葉の茎が弱いので、ちょっと強い風が吹くと葉の茎から折れ、その後の収穫量が激減します。プロの農家は最近は殆どビニールハウスの栽培なのもそうした理由もあるかもしれません。一方、トマトは支柱さえしっかりしていれば、比較的風に強い野菜だと思います。そこで、今年の第二世代のキュウリ、同じく第二世代のトマトは以下の写真の様な工夫をしてみました;

キュウリ栽培用遮風?ネット
キュウリ栽培用遮風?ネット

トマトとキュウリを直線に並べ、その間には遮光ネット(百円ショップで購入)を風よけとして張ってあります。南東からの強風は、この遮光ネットが和らげてくれるものと期待しています

3.コンパニオン・プランツとトマトの栽培
NHKの野菜栽培の番組を観るのが、日曜日の朝食時の楽しみの一つになっていますが、先日この番組でコンパニオン・プランツ(companion plants)の存在を知りました。香味野菜やハーブ類を野菜と一緒に栽培すると、病害虫予防や味がよくなる効果があるとか。昨年はトマト栽培で病虫害で苦労しましたので、今年は拙宅で大量に栽培しているバジルをコンパニオン・プランツとして植えてみました;

コンパニオン・プランツ_トマトとバジル
コンパニオン・プランツ_トマトとバジル

既に収穫に入っている第一世代のトマトの育ち方は、病虫害もなく昨年より良好です。また、味も心なしか?良い様な気がします。参考までにコンパニオン・プランツの組み合わせをネットから入手しましたので興味にある方はご覧になってください:コンパニオン・プランツ

その他のトピックス

1.プンタレッラについて
この野菜栽培については、昨年6月のブログ(近所の八百屋では手に入らない野菜の栽培!)でご紹介しましたが、今回はローマでの栽培と同じく冬野菜として育ててみましたが、見事に失敗しました。やはり日本の冬の露地栽培には向いていないようです。しかし、弱弱しく生き残っていた冬越しのプンタレッラが春になって鑑賞に堪えるほどの美しい花を咲かせ、しかも長持ちするという発見もありました

プンタレッラの花
プンタレッラの花

今年の春植えのプンタレッラは、一旦大きなプンタッレラの花芽を収穫した後も、次から次に小さな花芽が出てくるので、少しづつ食べるには重宝しています

春植えプンタレッラ_最初の収穫と二度目以降の収穫
春植えプンタレッラ_最初の収穫と二度目以降の収穫

2.豆類の栽培
豆類については、大量に栽培しても老夫婦では食べきれないので、ナス、トマト、キュウリと同じように2世代に分けて栽培することにしました。栽培したものは以下の3種類です。絹さやについては3月から収穫を始めた第一世代は既に収穫を終わり、同じコンテナに第二世代を育てています

絹さや_第二世代_7月14日
絹さや_第二世代_7月14日

枝豆は既に収穫を始めていますが、良く知られている様に、収穫後直ちに茹でたものは一味違います

枝豆
枝豆

尚、枝豆は豆類なので、学校で習った知識(豆類は“根瘤バクテリア”で空気中の窒素を固定できる)に基づき追肥をしないでいたら葉が黄色くなってしまいました(下の写真)

肥料不足の枝豆の葉
肥料不足の枝豆の葉

慌ててネットで調べて肥料不足であることが分かり、追肥を施したところ、1ヶ月程度で回復しました。ご参考まで!

つる無しエンドウは既に第一世代の収穫が2ヶ月に及んでおり、収量が少なくなっているので、もうすぐ第二世代に引継ぎになります

つる無しエンドウ_7月14日
つる無しエンドウ_7月14日

3.唐辛子類の栽培
唐辛子は昨年同様、日本在来種で一番辛い「鷹の爪」を昨年以上(8本)植え付けました。拙宅では乾燥させた赤い唐辛子のほか、熟す前の緑色の唐辛子も収穫し醤油漬けにして食事の共にしています。この習慣は台湾での駐在経験からきています。台湾では青唐辛子を輪切りにし“魚醤”に漬けたものが、麺や餃子の屋台では必ず卓上に出されています。これを麺に加えたり、餃子のタレの入れて食べるととても美味しいんです。辛い物好きの方は是非お試しおください

鷹の爪
鷹の爪

また、昨年まではピーマン、又はパプリカを栽培していましたが、病虫害であまりよくできませんでした。今年は「ジャンボ・シシトウ」を試しに植えてみたところ大変うまくいきました。ジャンボ・シシトウは小さいうちに収穫すればシシトウと同じ様に料理に使うことができ(例えば、天ぷらやBBQの焼きシシトウ、など)、大きく育てれば、ピーマン代わりにも使えます

ジャンボ・シシトウ_7月12日
ジャンボ・シシトウ_7月12日

4.ハーブ類

昨年栽培していたハーブ類(バジル、ローズマリー、ペパーミント、レモンバーム、ディル、セージ、タイム、イタリアンパセリ、日本のパセリ)の他に、今年は香菜(パクチー)も常備して、ラーメンを食べる機会に使ったり、エスニック風のサラダに入れて食べています

ハーブ各種
ハーブ各種

ハーブ類は野草の類なので、概して生命力は旺盛です。花が咲いて種ができて後、放っておくとあちこちで芽が出てきます。新しく種を買う必要がないものが多いです。今回の発見は、セージを冬の間放っておくと春先から花が咲き、これがとても美しいんです(上述のプンタレッラの花には負けますが、、、)

セージの花
セージの花
夏野菜の料理

初夏から秋口にかけては、野菜が豊富に採れるので野菜の購入は殆どしません。取れ過ぎる時は、根菜類は漬物(ぬか漬け、みそ漬け、粕漬、塩漬け、ピクルス、など)、ハーブ類は乾物、ナスなども乾物にしておけば冬場の鍋材料で重宝します。
しかし、新鮮なうちに食べるのが一番なのでワイフは単調にならないように色々な創作料理で楽しませてくれます(感謝!)。例えば7月10日の夕食では;

自作野菜のみの惣菜_7月10日
自作野菜のみの惣菜_7月10日

① ナス、カブ、漬物用のウリの古漬け(結構酸っぱい!)
② ナス、ジャンボ・シシトウ、ズッキーニを一旦素揚げしてから少々砂糖を入れた味噌で和える(私の大好物!)
③ キュウリのゴーヤソース和え。ゴーヤソースはゴーヤ、カシューナッツ(軽く炒る)、塩少々にオリーブ油を加えフードプロセッサーにかける

ゴーヤは取れ過ぎるので2本のみ植えていますが、それでも毎日1~2本は採れてしまうので、定番料理のゴーヤチャンプルーや、薄くスライスしてさっと湯がき、鰹節をトッピングして食べる方法なども飽きてきます
ゴーヤソースを作り置きしておくと、木綿豆腐を崩したものに混ぜておぼろ豆腐風!にするとか、ドレッシングに混ぜて使う方法もあり、ゴーヤ料理のバリエーションが増えて重宝します

以上

森林経営管理法が成立しました!

はじめに

上の写真は、日田木材協同組合のサイトに載っていた写真から拝借したものです。日田と言えば、江戸時代、天領(徳川家の直轄地)の森として手厚く保護されていたこともあり樹齢300年を超える巨木が多く残っている貴重な森林です。植林は15世紀から始まり、現在もなお林業はこの山間の地の主要産業として成り立っています

日本の林業については、1955年までは木材の自給率が9割以上であったものが、木材輸入の自由化が段階的に行われた結果(1964年に完全自由化)、2008年には自給率が24%までに落ち込んでおり、正に衰退の一途を辿っています(詳しくは、私のブログ“年の初めのためしとて~”の<農業、林業、水産業の未来・ 2.林業の分野>の部分をご覧ください)。この結果、国産材供給の問題だけでなく、山間地域の過疎化地滑り、鉄砲水による災害水源地域の荒廃、などの諸問題を惹起しています。こうした問題を抜本的に解決すべく新たな法律が誕生しました

「モリカケ」問題で、与野党が紛糾している国会で、珍しくさしたる混乱もなく「森林経営管理法」が成立しました(5月25日に衆議院を通過;6月1日施行;審議経過については森林経営管理法案・審議経過をご覧ください)。新聞やテレビの様なニュースメディアでは殆ど取り上げられなかったものの、この法案が野党を含む殆どの政党が賛成して成立した背景には、日本の森林の荒廃がかなり進み、国民全体に、“何とかしなければ”という共通認識があったからと思われます。以下にこれからの日本林業再生のきっかけとなると思われるこの「森林経営管理法」の内容をできるだけわかり易くご紹介したいと思います

森林経営管理法のねらい

日本の国土面積、約37万平方キロのうち森林の面積は66%を占めています。この内、国が管理の責任を持つ国有林が31%、地方公共団体が管理の責任を持つ公有林が11%、所有している個人、法人が管理の責任を持つ私有林が58%を占めています。尚、大変紛らわしいのですが、公有林と私有林を総称して民有林と言います。「はじめに」で挙げた各種の問題は、ほぼこの民有林の管理が十分に行われていないことが原因とされています

昔は「山持」と言えば富の象徴であり、生産サイクルが数十年から数百年に及ぶことから短期間で投資回収ができない林業の問題も、「山持」の人たちの有り余る財力によって賄われてきました。しかし、安い外材の流入により、木材自体の価値が大幅に下がり、山林の所有は“役に立たない財産”、あるいは“売るに売れない厄介な財産”となり、管理されないまま放置されてしまうこととなりました
森林経営管理法の目的は、管理が行き届いていない民有林を官主導できちんとした管理を行えるようにすることです

しかし、そもそも私有財産である私有林の管理を、官が勝手に行うことが許されるのかという問題があります。森林経営管理法では、この問題を以下の様な考え方で私権を制限できる根拠としています

<なぜ森林所有者の権利を制限できるのか>
① 現在、実質的に管理が行われていない私有林が多く存在し、本来森林所有者が適時適切に行うべき伐採造林保育(下刈、枝打、間伐、など)が行われず荒れ果ててしまった森林が多く存在すること
② 荒れ果ててしまった森林は、その所有者が負うべき保安林としての公的な責任(水源の涵養、土砂の崩壊その他の災害の防備、生活環境の保全・形成、など)果たせなくなってしまっている事例が発生しつつあること

山林の崩壊
山林の崩壊

③ かつて林業で栄えた多くの山間の村落が林業の衰退により過疎地と化しており、こうした村落を再び活性化させるには林業が最も適していること

④ 日本の地理的な条件を勘案すると、日本は森林面積森林資源の蓄積量森林の成長量の数値から判断して、森林資源が最も豊かな国の一つであり、林業は国際競争力の高い成長産業になりうること(← 詳しくは、私のブログ“年の初めのためしとて~”の<農業、林業、水産業の未来・ 2.林業の分野>の部分をご覧ください)

つまり、憲法で保証している財産権を「公共の福祉」の観点から、必要最小限の範囲で制限を加えていることになります
憲法29条:財産権は、これを侵してはならない。財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる

森林経営管理法の概要

以下、条文の具体的な内容について詳しく知りたい方は森林経営管理法を読み込んで戴くこととして、ここでは、全体を俯瞰して重要なポイントを説明(一部私見を交えて!)していきたいと思います

<森林経営管理法のねらい>
① 林業の成長産業化と、森林資源の適切な管理を両立させる為に、市町村を介して林業経営能力の低い小規模零細な森林所有者の経営を、意欲と能力のある林業経営者につなぐ(⇔委託する)ことで、林業経営の集積・集約化を図る
⇒ 大規模化によって効率的な森林用特殊大型車両の導入、広域的な林道整備が可能となり、長期的且つ計画的な林業経営が可能となります
経済的に成り立たない森林については、市町村が自ら経営管理を行う仕組みを構築する
保安林としての機能を維持するための計画、実施が容易になる

<森林所有者の責任の明確化と市町村による森林経営管理権の行使>
森林所有者は、自身の保有する森林について、適時に伐採、造林または保育(下刈、枝打、間伐、など)を実施することにより、適切な経営または管理を持続的に行わなければならないと定めています(森林経営管理法第4条)
② 森林所有者が上記の義務を果たせない時は、市町村が森林所有者から経営管理権(森林の伐採、木材の販売、造林、保育を行う)を取得し経営管理を行う(同法第3条~第9条)と定めています

<市町村による森林経営管理によって何故林業の成長産業化が図れるのか
都道府県が意欲と能力のある林業経営者」を募集、公表する(同法第36条)。この林業経営者には、以下の支援措置を実施する
支援措置の内容(同法第44条~第46条、附則第2条);
国有林野事業に係る伐採等も委託
* 国及び都道府県による技術指導
* 独立行政法人農林漁業信用基金による経営支援、林業経営基盤の強化等の促進のための資金の貸し付け期間の延長(12年⇒15年)
<参考> 林業の規模拡大の為に林業を経営するものに債務保証を行う制度:180206_林業9割に債務保証_大規模化支援

市町村は、管轄する区域内の民有林について経営管理の状況を調査し、市町村に集積することが必要かつ適当であると認める場合には、経営管理権集積計画を定める
この計画は、市町村森林整備計画森林法第10条の5で民有林については、10年を一期とする森林整備計画を立てなければならない)、都道府県が実施する治山事業(森林法第15条の15で定められている)、その他地方公共団体の森林の整備及び保全に関する計画との調和が保たれたものでなければならないとされています

治山事業_林野庁
治山事業_林野庁

経営管理集積計画に定めるべきこと(森林経営管理法第4条);
* 集積計画対象の民有林の所在地番地目、面積所有者の氏名又は名称住所
* 経営管理権の執行開始時期及び継続期間
* 市町村が行う経営管理の内容
* 経営管理を行った結果、利益が得られた場合に森林所有者に還元すべき金額の算定方式、及び支払時期・方法
* その他

 市町村は、都道府県が公表した「意欲と能力のある林業経営者」に林業経営に適した森林の経営を委託する。また、林業経営に適さない森林については、市町村自らが間伐等を実施する

<森林所有者の権利、保護について>
① 市町村の経営管理集積計画は、森林所有者の同意を得なければならない(同法第4条の5)
② 市町村は、集積計画対象森林の森林所有者に対してその意向に関する調査(経営管理意向調査)を行わなければならない(同法第5条)
③ 森林所有者が、経営管理権集積計画に同意しないとき、市町村長は、農林水産省令で定めるところにより、同意すべき旨を勧告することができる(同法第16条)

④ 森林所有者が、経営管理権集積計画に同意しないとき、市町村長は、農林水産省令で定めるところにより、6ヶ月以内に都道府県知事の裁定を申請することができる(同法第17条)
⑤ 申請を受けた都道府県知事は、森林所有者に対して2週間以上の期間を指定して森林所有者に意見書を提出する機会を与えるものとする(同法法第18条)
⑥ 都道府県知事は、森林所有者の森林について、現に経営管理が行われておらず、かつ、所有者の意見書の内容、当該森林の自然的経済的社会的諸条件、その周辺地域における土地の利用の動向その他の事情を勘案した上で、集積することが必要かつ適当であると認める場合には、裁定をする(⇔森林所有者の財産権の制限)ものとする(同法第19条)

森林所有者の全部または一部が、探索を行っても不明である場合、市町村が森林経営管理権を行使する旨を公告する。森林所有者は、広告の日から6ヶ月以内であれば異議を述べることができる。期間内に異議を述べなかった場合は、経営管理集積計画に同意したものとみなす(同10条、11条)

森林経営管理法に関連する法規制、制度、等

林業の衰退と再生の必要性については、民主党政権時代(2009年~12年)から既に政官界の共通認識となっており、その後の自民党政権でも「成長戦略」の一つとして取り上げられています。従って、森林経営管理法成立以前にもこれに関連する政策が着々と進められておりました

<林地台帳の整備>
市町村が経営管理集積計画を策定、実行するに当たって、民有林の所有者、及びその境界を確定することが非常に重要であることは言うまでもありません。しかしながら民有林の内、特に私有林の所有者については、登記上の所有者が死亡したのち、何代にもわたって相続権のある人が相続の手続きを行っていない場合(⇒相続権のある人が多数存在することになります)、あるいは所有者が転居して探索が困難になっている場合も多く、誰が所有者か確定できないケースが多数存在しているといわれています。また、森林の境界が不明確なケース(もともと境界の目印が“口伝!”によるものが多いのだそうです)も多いといわれています

そこで、2017年5月の森林法改正によって、市町村が統一的な基準に基づき、民有林の所有者やその境界に関する情報などを整備・公表する林地台帳制度が創設されました(森林法第191条の4~7)。この制度の概要については林野庁が作成した林地台帳制度の概要をご覧ください
また、実際に各市町村が林地台帳を整備するにあたってのマニュアルも林野庁が整備しておりますので、興味のある方は林地台帳及び地図整備マニュアルの概要ご覧になってみてください
尚、林地台帳作成の義務を負った市町村も、作成にかかる多額な費用を自前で賄うのは難しいので、次項に紹介する新税を原資とした、国や都道府県からの補助金が頼りになりそうです

しかし、法律が出来、補助金が得られても、広大な森林面積を有する自治体では、かなり困難な作業となりそうです。境界の確定などには、最新のGPS技術やドローンを利用する技術をなどを持っている調査会社のビジネスチャンスが増えそうですね(私見!)。参考までに長野県のケースについて日経の記事を見つけましたので、興味のある方はご覧ください(171216_森林整備まず境界明確化_林地台帳作成

<森林環境税>
森林環境税は、温暖化対策として空気中の炭酸ガスの吸収源となる森林の整備を行うための財源確保として平成2018年度の税制改革にて導入が決められました。ただ、2019年度から徴収すると納税者の負担感が増すため、東日本大震災の復興財源の上乗せ措置が終わる翌年の2024年度に導入することとなりました
この税の徴収は、現在個人住民税を収めている約6千2百万人すべてが対象とされており、1人あたり千円の徴収(復興特別税と同額)とすると年間で約620億円の税収が想定されています

しかし、森林環境税は名前は異なるものの目的は同じ森林整備の名目ですでに独自に導入している地方自治体があります。高知県が2003年度に森林環境税を導入したのをきっかけに2017年1月時点では、全国36県・1政令市で導入されています。税額については下表の通りバラバラです;

森林環境税_既存の地方税
森林環境税_既存の地方税

従って、今後は各自治体毎に地方税との二重課税の問題を解決しなければならないと思われます。また、新税については2024年から配布されることになりますが、林地台帳の整備などは一刻も早く実施する必要があります。従って、新税開始までのつなぎとして、地方交付税に上乗せして実質的に開始することも考えているようです
参考:180424_森林環境税_既存の住民税との二重課税問題

おわりに

先日、NHKの「クローズアップ現代+」で取り上げられていましたので、ご覧になっている方もいると思いますが、人口1550人の兵庫県西粟倉村では、国の平成の大合併政策を拒否して2008年以降「百年の森林構想」を掲げて林業を中心とした村おこしを始めています。すでに全国から志ある者が集まり人口も増加しつあるそうです
参考:兵庫県西粟倉村の村おこし(前編)同(後編)

大都会では、有効求人倍率が1を超えたといいながら、職にあぶれ日雇いで食いつないでいる若者、夢のない「派遣労働」で行き場を失っている若者に満ち溢れています。こうした若い労働力が、森林経営管理法のもとで林業を中心とした村おこしに参加してゆけば平成の次の時代は明るいものになると思うのですが、、、

Follow_Up:2019年6月5日、改正国有林野法が成立(民間林業の参入支援)」しました

以上