今年も我が家は穏やかなうちに新年を迎えました
我が家の小さなペントハウスには、これまた小さな小さな神棚があり、以前住んでいた保谷にある東伏見稲荷神社で戴いたお札が祀ってあります。元日の朝は、ここで二拝二拍手一拝した上で屋上に出て美しい富士山を仰ぎ、その後一階の仏壇で線香をあげ、我流で般若心経を唱えることが習いとなっています。特に願いごとも、お礼ごとも無く、心静かに祈るだけですが、かれこれ父親が亡くなってから46年間欠かさずこれを続けていることになります。以下はのんびりした正月に御屠蘇気分であれこれ考えてみたことを書いてみました
第四次産業革命の夜明け
朝食を始める前の一時は、例年おもむろに特集記事中心の分厚い新聞を広げることになりますが、今年は「第四次産業革命」関連の特集記事が目立ったような気がします;
「第一次産業革命」:18世紀、ジェームスワットの蒸気機関の発明によって生産が人力から機械力に代わったことによって起こった世界的な産業構造の大変化のことを指します。日本は明治維新後の「殖産興業」の政策によって遅ればせながら列強に追随し、アジアでは最初に工業化を果たすことができました
「第二次産業革命」:19世紀後半、フォード自動車のベルトコンベア方式に代表される大量生産により、自動車などの高度工業製品の大衆化が実現しました。しかし、この生産方式は、巨大な資本力、大量の資源、大きな市場の確保が必要となることから、狭い国土の日本では、必然的に帝国主義への道を歩む事になってしまいました
「第三次産業革命」:第二次世界大戦後、半導体技術の進歩により実現した「生産設備の電子化、システム化」、トヨタに代表される「サプライチェーンの効率化」、「多品種少量生産」、などにより産業構造が大きく変わりました。これらを総称して「ファクトリー・オートメイション」とも言いますが、日本は敗戦後の苦難な時期を乗り越えこの産業革命では世界をリードする国になりました
「第四次産業革命」とは;
① 1990年代から本格化したインターネットで代表されるコミュニケーション技術の大革命
② 人間の知能に近い学習を自ら行って時間が経つにつれ賢くなってゆくDeep Learning を備えたAI(Artificial Inteligence / 人工知能)とロボット技術の融合
③ 5G(Fifth generation / 次世代通信網)で代表される高速・大容量の通信インフラの整備(近い将来)
④ 桁違いの演算能力を持つ量子コンピューターの登場
などによって、近い将来起こると予測されている第一次~第三次産業革命を凌ぐ産業構造の大変革の事です
最近屡々新聞を賑わすICT(Information and Communication Technology / 情報処理および情報通信技術を使ったサービスの総称)やIoT(Internet of Things / 多種多様な生産設備が地理的な境界を越えて相互に自律的にコミュニケーションを行う事)の普及、急ピッチで開発は進められている自動運転車、身近な生活の分野で急速に進むシェア・エコノミー(配車シェア/ウ―バー、個人同士の商取引/メルカリ、クラウドコンピューティング/クラウドワークス、、)などは、いずれもこの「第四次産業革命」の第一歩という事ができます
第四次産業革命では、それまでの産業革命と同じ様に「人の働き方」が大きく変わります。そして、結果として「人の生き方」も大きく変わるのではないか、と言われています
最近、週刊現代に「オックスフォード大学が認定、あと10年で消える職業と無くなる仕事」というセンセーショナルなタイトルの記事が出て話題になっていました。この記事のソースをネット上で探ったところ、どうやら2013年9月に発表された「The future of employment : How susceptible are Jobs to Computerisation ?」という論文の様です。これは72ページにわたる大論文で、私には到底読みこなせませんが、論文冒頭の要約をみると、米国の702の職種についてコンピューター化できる可能性を分析したところ、47%の職種でコンピューター化が可能であり、労働市場に於いて雇用環境全般(職種ごとの賃金水準や学歴、ほか)に大きなインパクトを与える可能性があるとのことです
難しい話は別にしても、頭脳労働の粋と思われる囲碁や将棋の世界でコンピューターが一流のプロに勝ってしまうニュースや、人気のない大工場でロボットが黙々と仕事をこなしている映像を見ると、近い将来間違いなく「人の働き方」が変わるに違いない事は実感できると思います
第四次産業革命でも半分くらいの職域は残るのでしょうが、要求される能力はかなり変わってきそうです。既に、増え続けるデータ処理に係る人の求人が増えています(参考:データ解析者争奪戦)。一方、失われる可能性の高い職域の雇用の問題は、予め予測し、可能な範囲で対策を考えておくことは絶対に必要ではないでしょうか? 大国であった英国が20世紀後半、第3次産業革命に的確に対応できず所謂「英国病」で苦しんだ歴史を忘れてはならないと思います
日本が直面している少子・高齢化の状況
第四次産業革命の黎明期にあたって、世界をリードする日本であり続けるためには、今直面している少子・高齢化社会の状況にどう対応していくかは避けて通れないと思われます。総務省が発表している人口推計から衝撃的!な幾つかの図表を取り出してみると(詳しくは:我が国の労働力人口における課題_総務省参照);
我が国の65歳以上の人口は2010年には23.0%であったが、2060年予測では39.9%と世界のどの国でもこれまで経験したことがない少子高齢化が進むことが見込まれ、2060年には15歳~64歳までの労働人口が4,418万人まで大幅に減少することが予想されています
一方、こうした労働力の急速な減少傾向に対して、現在65歳以上の人が就業している(希望する)割合は極めて少ない事が以下の図表を見ると明らかになります;
この結果、65歳以上の人ひとりを支える生産年齢(15歳~64歳)の人の数は、以下の表の通り劇的に低下し、常識的には働かない高齢者を働ける人(15歳~64歳)が支えていくというこれまでの構造(生き方)は通用しないことになります;
一方、厚生労働省の要介護者数の推計値をみると、これまた衝撃的!な数値になっています;
こうしたことを総合すると、高齢者は自ら道を切り開いていく必要があると考えられます。豊かな高齢者は、働かずとも高額商品の購入、旅行や遊びで消費することによって経済の循環に貢献することが可能です。しかし、年金を貰っている普通の高齢者は、働き続けることによって社会に貢献することが必要になると思います。働き続けることによって「介護の世話にならずにすむ健康を維持」し、同時に「生産労働人口の減少」を補うことが、結果として「老後の生き甲斐」を得ることに繋がるのではないでしょうか
産業構造の大変革と日本の生きる道
第三次産業革命までは、日本人の器用さからくる「もの作りの伝統」と、江戸時代の寺子屋、藩校などから続く国民皆教育による「労働者の平均的な能力の高さ」によって勝ち残ってきました。しかし「もの作りの伝統」はAI+ロボット+3Dプリンターで優位性は失われる可能性が高いと言われています。また、「労働者の平均的な能力の高さ」もロボットが導入されたもの作りの現場、自動運転車が導入された運輸業などの現場(参考:高速道路で隊列走行の実証実験)はもとより、間接業務についても、軽易な事務作業は当然として、花形である企画業務や、人事・総務業務、技術開発業務、などについても膨大なデータベースを基に、AIを駆使して答えを出す「クラウド・xxx」によって代替される可能性が高いと言われています。最近、日本の巨大銀行においてフィンテック(FinTech /金融を意味するファイナンス/Financeと、技術を意味するテクノロジー/Technologyを組み合わせた造語 )の急速な普及により人員や店舗数を削減し始めたのもその象徴的な現象と思われます
逆に、同じ理屈で日本の人件費の高さから海外生産にシフトしていった、グローバル企業が、「生産の一部(少なくとも日本で消費される部分)を日本に戻すこと」も不思議ではありません。今始まったばかりですが、多国間の自由貿易協定(TPP、日欧EPA、など)もそれを後押しするに違いありません
また、間違いなく生き残る仕事のうち、基礎研究の分野、芸術と言われるまでに進化した伝統技術の分野、人とのコミュニケーションが必須のサービスの分野、などは、現在必ずしも人気のある職種とは言えませんが、これから職を探そうとしている若い人たちには狙い目かもしれません
< 基礎研究の分野>
これから日本が世界の産業をリードしていく為には、医薬品・医療用機器の開発、新素材の開発、情報分野での基本技術の開発(量子コンピューター、通信規格、、、)など、基礎的な研究に国を挙げて力を注いでいく必要があります
これまで、所謂ポスドク問題(Post Doctor / 博士号は取得したが、正規の研究職または教育職についていない者)と言われ、多くの優秀な研究者が、充分な給与を得られず苦労しているという実態があります。結果として優秀な人材が米国に流出したり、研究に対する夢をすてて民間企業の普通の仕事に就いたりすることが後を絶ちませんでした
また、公的な研究機関であっても、多くの研究員が有期雇用契約で研究しており、研究成果を出すことを焦って研究不正を犯す事例(STAP細胞の事件で有名!)が発生したことでも分かる様に腰を据えて研究する体制が整っていません
ノーベル賞を受賞する様な卓越した基礎研究も、日本の教育・研究環境の評判を高めることとなり、米国の様に世界から優秀な人材を呼び込むことに繋がると考えられます。ここ最近、日本は中国や韓国が羨むほどのノーベル賞の授賞者を輩出していますが、これは数十年前の研究に対して与えられている訳で、現在の教育・研究環境が続けば早晩受賞者が減ることは間違いないと受賞者たちから警鐘を鳴らされています
<Follow-up>
*2018年10月13日の日経新聞電子版に(181013_科学技術大国・衰える研究基盤_伸び悩む資金、細る人材_推進力に影・気が付けば後進国、181013_科学技術基本法)という記事が出ていました
< 伝統技術の分野>
明治維新の主役となった島津藩は、16世紀の文禄・慶長の役で朝鮮から連れ帰った陶工を優遇し根付かせた「島津焼」を幕末にヨーロッパ各国に輸出し経済的に豊かになったと言われています。また、島津藩に限らず徳川幕藩体制の中で、各藩が競って現金収入の基になる工芸品を洗練し、これが明治の日本を経済の面で支えたことは間違いありません。更に、神社仏閣・城郭の建設で培われた木工建築技術も世界に誇れる伝統技術の一つと思われます
こうした優れた伝統技術は、現在後継者が不足していると言われています。こうした技術を単に維持するというよりは、国内のみならず海外への販売強化を図り、結果として産業として成り立たせる方策を国を挙げて考えるべきだと思われます
< 人とのコミュニケーションが必須のサービスの分野>
現在日本が直面している最大の課題である「少子・高齢化」の問題で喫緊の課題となっているのは保育士と介護要員の確保にあることはは周知の事実です。いずれも給与レベルが低いという問題の解決は当然の事として、保育士については子育てが一段落した資格を持った女性の再雇用の促進が図られることになると思われます。介護要員の不足については、現在では非常に体力のいる仕事となっているので、ロボットの活用で体力仕事を無くすことにより、被介護者とのコミュニケーションに関して優位性のある高齢者に門戸を開くことも可能になると考えられます
高齢者が増加することにより、間違いなく医療の分野でも多くの雇用が必要となります。医師の数は医師免許という高い障壁があるので魅力ある収入が保証されなくては現在以上の数は期待できません。ただAIを活用した的確な診断と、「かかりつけ医」制度によって医師の必要数増加はある程度抑制可能と考えられます
一方、看護師の必要数は確実に増加します。現在でも看護師の数が揃わないためにベッドが空いていても入院させられない事態が起こっているそうです。看護師という職業は十分に魅力ある職業であるものの、労働環境が厳しい(特に夜勤の回数及び業務量が多いと言われています)こと、給与水準が労働の質、量に見合わないことが必要人数を確保できない要因になっていると考えられます
私が以前従事していたエアライン・ビジネスについても、夜間作業が多く、これをこなす為に給与面、勤務回数・勤務時間の面において十分な手当てを行うことによって必要人員を確保していました。看護師の定員に関しても国が関与しつつ同様の手当てを行うことにより、充分な雇用数を確保することは可能と考えられます。
観光・旅行業に関しても、人とのコミュニケーションが必須であるビジネスと考えられます。政府の掛け声で始まったオリンピックが開催される2020年迄に「訪日客4000万人、消費額8兆円達成」は、これまでのところある程度順調に来ています。しかし、2017年訪日客は2869万人を達成したものの、消費額は4.4兆円にとどまっています。一時の中国人旅客の爆買いが影を潜めたことが背景にあると思われます。これから更に訪日客の消費額を増やすためには、「コト消費(体験や経験に係る消費;例:①、②、③、④、⑤、⑥」を増やすことが課題とされています。そのためには、国や地方公共団体が行う規制緩和(例:民泊、通訳、など)や公衆WIFIの整備、隠れた観光スポットの開発、日本文化体験サービスの提供、などの「観光インフラ」の整備が必要となります。また同時に、訪日客のこうした行動をサポートする人材が多く必要となることは言うまでもありません
これらの活動はオリンピック後も継続して行うことによって、更に多くの訪日客を呼び寄せ、更なる雇用を生み出すことができると考えられます。因みに観光先進国のフランスには年間7000万人の観光客が訪れるそうです
農業、林業、水産業の未来
第四次産業革命とは無縁と思われる「農業、林業、水産業」などの第一次産業は、人の命を支え、有事の際の最も重要なインフラであることは言うまでもありません。しかし、戦後の急速な経済発展の過程でないがしろにされ、時として政治の道具とされてきた結果、農業、林業、水産業それぞれの先進国(いずれも経済・文化の先進国)から相当程度遅れた状態にあります
一方、地球儀を眺めて貰えれば分かることですが、日本の地理的な条件(中緯度、南北に長い、モンスーン地帯、山岳地帯が多い、海に囲まれ島が多い)は農業、林業、水産業とって世界有数の適地であり、間違いなく生き残る産業分野です。努力と工夫次第で自給はもとより、国際競争力のある第一級の輸出産業に育てることも可能だと考えられます
現在、農業、林業、水産業共に就業者が減少すると共に高齢化し、存続の危機に陥っている地域(地方の過疎化)も少なくありません。一方、都市に流れ込んだ若者は現在でも低賃金に喘ぎ、第四次産業革命が本格化すれば職を失う可能性も否定できません
こうした状況を打開するためには、農業、林業、水産業を金の稼げる産業に転換すると同時に、労働環境を快適なものにして魅力ある職場に変えてゆくことが急務であると思います。以下にその方策について私なりに考えてみたいと思います
1.農業の分野;
現在、農業分野の生産性は、農業先進国に比べると相当低いと言われてる一方、農業人口は戦前・戦中・戦後に比べれば相当減ってきています。因みに、農業就業人口とGDP(国内総生産)に対する農業の貢献度は下図の様になっています;
つまり、日本の農業は就業人口の減少に合わせて、GDPに貢献しなくなっている実態を表しており、農業が結果としてないがしろにされてきた原因であり、結果であると考えられます。農業就業人口の比率は米国の水準に近いレベルまで来ているので、これからは農業の生産性を上げ、日本のGDPに対する農業の貢献度を上げていかなければならないと私は考えます
農業の中で最も大切なものは昔も今も穀物生産にあることは論を待ちません。ご記憶の方も多いと思いますが、温暖化対策の切り札としてトウモロコシから製造したアルコールがガソリンの代替として使われた時期がありました。主な製造国は米国でした。この結果、食料としてのトウモロコシの需給が逼迫し、トウモロコシを主食としている国々、とりわけ貧しいフィリピンにおける食糧危機に繋がりました。また、トウモロコシを飼料として家畜を生産している日本においても、食肉価格の高騰につながりました。これは、異常気象や、戦争などによって穀物生産の需給が逼迫すれば、穀物を自給できない国は命に係わる大変な事態が起こるという事を如実に表しています
現在の日本の穀物類の生産状況を食糧需給統計_農林水産省(確定値のある平成27年度分)でチェックしてみると;
* コメ:国内生産量/842万9千トン ⇔ 自給率/98%(主食用は100%)
* 小麦:国内生産量/100万4千トン ⇔ 自給率/15%
* ジャガイモ:国内生産量/240万6千トン ⇔ 自給率/71%
* でんぷん:国内生産量/247万3千トン ⇔ 自給率/9%(他の資料より)
* 大豆:国内生産量/24万3千トン ⇔ 自給率/7%
大雑把な捉え方として、穀物類の中で小麦と大豆の自給率に問題がありそうです。小麦の需要が多いのは、過去米食主体だった食生活が、戦後パン食を好む様になってきた結果(学校給食の影響か?)だと考えられます
戦後の高度経済成長のお陰で日本は豊かになり、穀物類の他に肉類、鶏卵、牛乳・乳製品の消費も急激に増加してきました。これらの生産状況を、同じ農水省のデータでチェックすると;
* 肉類:国内生産量/3262万8千トン ⇔ 自給率/53%
* 鶏卵:国内生産量/254万4千トン ⇔ 自給率/97%
* 牛乳・乳製品:国内生産量/740万7千トン ⇔ 自給率/62%
一見問題無さそうに見えますが、実はこれらの生産に共通する飼料(主に穀物由来)の自給率に大きな問題があります;
* 飼料:総需要量/2,356万9千トン ⇔ 自給率/28%
食肉生産大国(米国、オーストラリア、など)との貿易摩擦でいつも問題となる牛肉、豚肉の輸入量の問題は、既存の生産農家の保護のみが強調されますが、「食の自給」を問題にするのであれば、上記穀物類の生産と併せ、飼料作物、放牧地の確保など多面的な対策をたてる必要があると考えられます
参考:農林水産省から出されている、異常に低い食料自給率(39%)は、ご承知の方が多いと思いますが、これは「カロリーベース食料自給率」のことで、国内生産を行っている家畜類の飼料もカロリーをベースに輸入量に加えている為です。こういう数値は先進諸国では殆ど公表されていません。ただ、飼料の大半を輸入に頼っているという実態は問題であることは確かです
以下、「食料の自給」の問題として小麦、大豆、飼料作物の増産について浅はかな!私見を展開してみることにします
増産には耕作地の拡大、土地生産性の向上、コストの削減などが必要になります;
<耕作地の拡大>
農地に関する統計_農林水産省を見ると、平成27年度で耕作放棄の農地は28万4千ヘクタールに上っており、全耕地面積(444万ヘクタール)の6.4%になっています。まず、これ等の遊休地を耕作地に変えることが必須です(ちょっと乱暴ですが、仮にこの耕作放棄地で小麦を栽培すれば150万トンの収穫が得られ自給率が37%まで上がる計算になります)
また、耕作に適さない山裾の山林の一部を牧草地とし、家畜の放牧地に変えることも飼料穀物の輸入量の削減に寄与すると考えられます。副次的な効果として、スイスや阿蘇の放牧地の様な美しい景観も作れるのではないでしょうか
更に、以下に展開する野菜生産の効率化により、野菜耕作地の相応の部分を穀物類の生産に振り替えることも可能ではないかと考えています
<土地生産性の向上>
現在、日本の土地の生産性は諸外国と比べて決して高いとは言えません。因みに穀物単位当たり収量・国際比較をみると;
* コメ・1ヘクタール当たりの収量:日本/6.52トン ⇔ 中国/6.59トン
* 小麦・1ヘクタール当たりの収量:日本/3.25トン ⇔ EU/5.36トン
* 大豆・1ヘクタール当たりの収量:日本/1.57トン ⇔ 米国/2.96トン
コメはそこそこですが、小麦と大豆はかなり生産性が低い状態です。コメについては日本人の銘柄米志向から単位当たり収量を犠牲にしている結果だと理解できますが、小麦や大豆については、強い殺虫剤を使用できないとか、遺伝子操作をした種を使っていないとか、耕作単位が小さいとか、色々言い訳はあるかもしれませんが努力する余地は相当ありそうです
<コストの削減>
日本は小規模の農家が多く、機械化が進まないために農業大国の様なコスト面で効率的な農業ができていないことは否定できません。戦前は広い土地を所有する地主が、多くの小作人を使って経営しておりましたが、戦後すぐに「自作農創設特別措置法(昭和21年制定)」が施行され、多くの自作農が誕生しました。また、土地を持たない引揚者が荒蕪地を開拓して(各地に存在する″昭和村″などはその例)農民となりました。こうして生まれた自作農民の営農努力、耕地の拡大が戦後の食糧難を救ったことは間違いありません。また、互助組織としての農協の役割も大きかったと思います。しかし、こうした小規模農家と農協が、戦後70年以上経って農業の大規模化、効率化を阻んでいるのは皮肉なことです
現在こうした小規模農家の多くで高齢化が進み、後継者不足が叫ばれています。不謹慎な事を承知で敢えて言わせて貰えば、今が低コスト農業に移行する絶好のチャンスだと思われます。耕作放棄せざるを得ない農地を買い上げ(あるいは借り上げ)、営農意欲のある自作農、あるいは農業法人に売却し(貸し出し)、大規模化を図ることにより、耕作機械類の大型化、耕作機械類の稼働率の向上、肥料、種苗類の大量購入によ単価削減、を実現すると共に、農業労働者の雇用創出、高賃金化、労働環境の改善を図ることができると思います
野菜栽培について;
野菜の栽培に関して我々が学生時代に学んできたことは、人口が集中する「大都市周辺に立地する」ということでしたが、高速道路網、鉄道網が発達した現在の高度な Supply Chain を前提とすれば、この理屈は殆ど通用しなくなりました。米国産のブロッコリーが日本全国の大都市で安く売られていること、産地直送の野菜が宅急便で1日で手に入ることから分かる等に、大量冷蔵輸送が当たり前になった現在では、日本全国どこで生産しても大都市に新鮮な野菜を供給できる様になりました
温室を使わないで栽培する野菜類については、全国配送を前提とすることにより、大規模化、機械化が実現できコスト削減が可能となると思われます。また、南北に長い日本の特徴をうまく生かすことになり、季節ごとにその地方に適した野菜の生産にに特化することにより農薬使用量の削減、農業所得の均一化も期待できることになります(ジャガイモやタマネギの栽培、夏場の高原野菜の栽培などで既に行われています)。また、暖地における春小麦の栽培と野菜栽培の二毛作(土地生産性の向上)も期待できるのではないでしょうか
最近、キャベツ、白菜、大根、など重い野菜の収穫作業が高齢者には負担となり栽培面積が減少していると言われています。こうした問題も、大規模化による大型省力化機械の導入で解決可能と思われます
葉物野菜、トマト、キュウリ、ナスなどの野菜は、AIで栽培に最適な条件を整えた大規模な温室栽培により、病虫害のリスクを下げ、単位面積当たりの収量を飛躍的に増やすことが可能になっています。オランダのトマト栽培を例にとれば、普通の露地栽培に比べ6~8倍の単位面積当たり収量が実現しており、ヨーロッパにおけるトマトの輸出国になっているそうです。勿論、冬場のエネルギーコストを勘案した上で適地を選ぶ必要はあると思います
<Follow-up>
*2018年3月8日の日経新聞電子版に(三共木工・トマトハウスにIoT)という記事が出ていました
農地に関する統計_農林水産省をみても全耕地面積の半分弱が畑地として使われていますが、上記の様な野菜栽培の大規模化により相当程度の耕作地を穀物生産に振り向けることが可能ではないかと私は考えています
果樹栽培について;
果樹栽培に関しては、日本は既に先進国と言えるのではないでしょうか。品種改良の努力によって、殆ど全ての果樹について高付加価値の輸出品として脚光を浴びつつあります。アジア地区の経済発展に伴う富裕層の増加により更に輸出が伸びることが期待されております。ふた昔前のオレンジ自由化による騒ぎが懐かしく思い出されます!
酒類の生産について
最近、ワイン、日本酒、焼酎、等の純国産の酒類が注目されています。世界に誇る発酵食品を作り出してきた日本の技術が、酒造りに生かされているのではないでしょうか。今後、大きく期待できると思います
Follow_Up:2019年5月17日、改正農地バンク法が成立しました。詳しくは(改正農地バンク法が成立 農地集約手続きを簡素化)をご覧ください
2.林業の分野;
日本林業の歴史(ネット情報);
1955年頃、日本の木材の自給率は9割以上ありました。しかし、急速な経済発展に伴い木材の需給が逼迫した結果、木材輸入の自由化が段階的に行われ、1964年には全面自由化となりました。外材は国産材と比べて安かった為にその後輸入量が年々増大してゆき、1975年以降は円高により更に外材価格の比較優位が進みました。この結果、1980年頃をピークに国産材の価格は落ち続け、日本の林業経営は苦しくなっていきました。2008年には自給率が24%となっています。
一方、国内の大造林政策は1996年まで続けられ膨大な人工林が残りましたが、国産材の価格の低迷により、間伐や伐採・搬出等に掛かる費用が回収できず、林業はすっかり衰退してしまいました。また不在地主の増加により、間伐などの手入れが全く行われていない森林が増えていることも一つの要因です。手入れが行われなければ、木は育たず、国産材として活用することができません
林業の改革の方向性については「日本林業はよみがえる」;
を一読されることをお薦めします。以下にこの本の要点を踏まえた上で私見を述べさせて頂きます;
<林業が衰退した結果何が起こったか>
江戸時代、林業は各藩の大切な資源として保護され、林業に携わる人が数十年から百年以上にわたる生産サイクル(植林した木は孫の世代が伐採する)を営々として守って安定した生産を行って来ました。また、植林・間伐・伐採などを担う人々の他、山間の木材集積地には製材産業、木工産業が育ち、多くの雇用を創出していました。こうした生産体制は明治以降終戦に至るまで守られてきましたが、外材の流入により崩壊してしまいました
この結果、植林・間伐・伐採を計画的に行って森林を健全に守ってきた人材が流出、高齢化するに任せる結果となり森林は全国的に荒廃して行きました。また、計画的な伐採を行わなくなった結果、製材産業は山間に立地する必要が無くなり外材が入る港湾近くに立地し、結果として山間部の木工産業も衰退していきました。こうしたことが、現在日本が直面する大きな課題の一つである、山間市町村の過疎化の一因になっていることは間違いありません
<国内の大造林政策は何をもたらしたか>
戦災で焼け野原になった都市を復興するために、長い生産サイクルを守らずに一時的に大量伐採を続けざるを得なかったことは止むを得なかったかも知れません。また結果として、植林した若木が育つまで一時的な外材の利用は止むを得なかったかも知れません
しかし、植林した木が育ったあと、広い面積を一斉に伐採し(「皆伐(かいばつ)」と呼ぶそうです)、また一斉に植林するという林業に移行したことは、日本林業の選択として誤っていたと思われます。「皆伐」は必要となる労働力の密度が高く、且つ時間的な継続性がありません。また「皆伐」する場所へのアクセスが悪い場合、人力による伐採と仮設ケーブルの設置など伐採に係るコストがかさみ、結果として外材とのコスト競争力を失うと共に、森林を永続可能な資源として維持するための人材も失うことになりました(農業の場合、自由化に当たって、農民を守る為の各種施策が行われましたが、林業の場合はそれが行われませんでした)。その結果が、森林の荒廃を招いたことはほぼ間違いありません。これが林業の衰退以外に「水害」、「大規模な土砂崩れ」、「水源地の危機」(参考:荒れる人工林・水源地がピンチ)、ひいては「花粉症患者の増加」や「野生動物(猪、鹿、猿)被害の増加」などを招いていると思われます
「木曽の美林」に代表される管理された日本の森林では、建築用木材となる杉、檜などの針葉樹林の間には広葉樹林帯を設け、これが野生動物の餌を提供すると同時にその保水力で水害、土砂崩れを防ぎ、木工品の材料を提供するなどの役割を担って来ました。単一樹木の大造林、皆伐という生産サイクルは、これら全てを奪ってしまったということでしょうか
<日本林業のポテンシャル>
日本は森林経営には理想的な地理的条件を備えています。中緯度にあり太陽エネルギーが豊富であると同時に、モンスーン地帯に位置するため雨量が豊富です。高緯度にあるカナダやロシアには豊富な森林はあるものの、気温が低く太陽エネルギーの恩恵が少ないので、一旦伐採すれば育成するのに時間と手間がかかります。一方低緯度にある熱帯雨林では、高温と大雨に伴う土壌栄養分の流出により一旦伐採すれば再生が極めて難しいと言われています(参考:熱帯雨林保護活動)
日本は急峻な山岳地帯が多いので林業には不向きだという意見もあるかもしれませんが、山岳地帯であるが故に雨量が多いこと、寒暖差が激しいこと、などによる高い木材品質が確保できることなど、メリットも多くあります。またアクセスの悪さについては次項に示す通り、林道の整備、大型機械の導入を行うことにより克服可能です。例えばオーストリアは林業先進国で日本にも木材を輸出していますが、急峻な山岳地帯が多いという地形は日本と同じです。因みに主要林業国の木材資源の状況を見ると以下の様になります;
上表によれば、日本の森林の蓄積量は44億立方メートルに達しているものの、生産量が極めて低い事が分かります。また、上表にある森林国の内フィンランドの2005年の輸出量は年間105億ユーロ(約1兆4000億円/1ユーロ135円)、オーストリアは年45億ユーロ(6000億円)です。また、ドイツは国内消費がメインですが、2005年に1,223億ユーロ(16兆5000億円)を売り上げ、約100万人の雇用を生み出しているそうです
<改革の方向性>
如上の通り日本林業は、敗戦とともに一旦衰退したものの林業先進国というお手本があり、且つ江戸時代からの伝統技術を継承する人材もわずかながら残っていることから、規制当局による方向付けと林業関係者の熱意さえあれば、必ずや日本林業は蘇ると思われます。日本の周辺には中国(乾燥地帯が多い)という巨大な輸出可能性を秘めた国があり、下記の様な改革を着実に行うことにより林業が日本の基幹産業の一つになることは夢ではないと私は確信しています
① 林道の整備;
日本の林道は大型機械を導入する様にはなっていません。昔ながらの細い林道では、人間が一人で使うチェーンソーで伐採し、馬を使って運び出すことくらいしかできません。一方、高度経済成長時代につくられた「スーパー林道(大半が舗装され、山を崩して作られている)」は行楽客の通路になっているだけで環境破壊の原因にも挙げられています。林道の目的は森林の環境を悪化させず、伐採すべき森林のすべてにアクセスできる「林道網(ネットワーク)」でなければならず、しかも大型機械が通行できなければなりません;
上記の林道は幅3.5メートルで、道の真ん中を高くして排水を良くしてあり、アスファルト舗装をせずに砕石を敷き詰めています
② 大型機械の導入;
林業で一番コストがかかるのは間伐・伐採、輸送に係る費用です。上記林道網を利用して大型機械を運び込めば、ケーブル設置の様な仮設の設備は不要となり、省力化と作業時間の短縮による人件費の削減が一挙に可能となります。尚、大型の林業機械は森林の地面を荒らすことの無い様に特別に開発したもの(当面は林業先進国からの輸入か?;有限会社・フォレスト;動画リスト)でなければなりません。土木工事用の大型機械の改修ではこの条件を満たさない可能性が高いので注意が必要です
数種類の大型機械とそのオペレーターがセットになって、林道網に沿って計画的に間伐、伐採を行い、伐採を行った場所に順次植林を行って行けば、年間の木材産出量も安定し、昔の様に木材生産地に製材産業を呼び戻すことが可能になります。更に植林に当たって、広葉樹林帯の整備も行えば、いずれ木工産業をの再生と野生動物の跋扈もなくなると思います。更に、地球温暖化の対策として推奨されている木材チップ(間伐材)や製材の廃棄物(おが屑、端切れ、など)を使ったバイオマス発電により、山間地区のエネルギー自給が可能になるかもしれません
③ 後継者の育成;
戦後からの失われた70年で、林業を支える人材は一から育てなければならない状況になっていると思われます。歴史を振り返ってみれば、明治維新後まず政府が取り掛かった教育改革は、近代的な農業を習得するために外国からの教師の招聘と、農学校の設立でした。現在の北海道大学の前身にあたる札幌農学校(クラーク博士で有名)然り、東大農学部の前身も明治3年に遡ります。現在、明治維新当時と同じ様に先進国が存在し、そこでは近代的な林業が行われています。こうした国から国策として教員を招く、あるいは優秀な学生を林業先進国に国策として派遣する、などを行って全国規模で林業振興の種を蒔くことが必要だと思います(参考:林業再生・人材養成待ったなし)
④ 日本林業の未来;
林業についても最新の技術を使った先進的な試みが行われつつあります(例えば、ドローン活用による資源量調査、IoTを活用してスマート林業を実験)。また、強度と耐火性の高い集成材(CLT)を使うことにより、従来鉄筋コンクリート製、あるいた鉄骨製が普通であった高層建築にも木材が使われるようになり、木材需要は今後増えると考えられます。更に、最近話題になっている木材資源を使ったセルロース・ナノファイバー(CNF)は、鉄の5分の1の重さで鉄の5倍の強度を持つと言われ、今あらゆる分野で使用が拡大している炭素繊維に匹敵する素材に成長する可能性を秘めています(しかもこの素材は完全にカーボンニュートラルです!)。木材の資源国である日本には明るい未来があると考えて良さそうです
遅ればせながら国も林業再生に本格的に取り組みを始めました。林業再生に必要な資金を確保するため、政府は2019年度から新税(森林保全へ新税)を設ける方針です。また、新しい森林行政を進める為に林地台帳の整備(地権者を見つけ出し、境界を確定する)を始めました。地権者の世代交代、住居の変更などで困難が予想されますが、林業改革の為にはできるだけ早期に全国レベルで実施完了する必要があると思います
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*木材利用の促進を図るため、2010年に 公共建築物等における木材の利用促進に関する法律が制定されました;促進スキーム
*2018年3月6日の日経新聞電子版にバイオマス発電に積極投資を行うエフォンという記事が出ていました
*2018年8月11日の“ZUU Online”に(中国が日本の木材を「爆買い」)という記事が出ていました
3.水産業の分野;
日本は戦後、大型船を駆使して南氷洋における捕鯨、北洋におけるサケ・マス、カニ漁、太平洋・大西洋におけるマグロ・はえ縄漁を行い、沿岸漁業と併せ、世界一の漁獲量を誇っていました。私たちの世代は子供の頃、こうした豊富な水産資源のお陰で不足しがちのタンパク質を摂取し成長することができました。
その後、沿岸漁業に依存する諸国が先進遠洋漁業国の進出に対抗し,漁業資源の保存と独占のため,漁業に関する管轄権を自国領海の外側の公海部分にまで一方的に拡大するようになりました。1982年に採択された国連海洋法条約で排他的経済水域の制度が新設され、実質的に沿岸から200海里の範囲で「漁業専管水域」として管理できることになり日本の漁業は大きな変革を余儀なくされることになりました
しかし、考えてみれば日本は多くの島々で成り立っており、排他的経済水域の面積は世界第6位となる海洋大国です
また日本列島の周辺は黒潮(+対馬海流)、親潮が囲むようにして流れ、この広い水域を生かした漁業を行えば水産品の輸出大国になることも不可能ではないと私は考えます。しかし、以下の様な課題を解決することが前提になると思われます;
① 現在、沿岸漁業を中心に漁業者の高齢化が目立ち、後継者の育成が急務な状況ですが安定した漁獲が得られなければこの問題は解決しません。稚魚・稚貝の放流の他、流れ込む川の上流域での森林の整備(←落葉が分解して植物由来の栄養素が海に流れ込むことが必要)など豊かな漁場にしていく施策が必要と思われます。また、クール宅急便を使って各地方の雑魚のマーケットを開発すれば、沿岸漁業の経済価値を引き上げることも可能と思います
② 過去、北海道で沢山取れたニシンが全く取れなくなった時期がありました。また、日本海沿岸で沢山取れたハタハタが全く取れなくなった時期がありました。いずれも乱獲が主な原因でした。その後、厳格な漁獲規制を行った結果、資源が回復しつつあります。資源量の正確な把握と適切な漁獲規制(必要により完全な禁漁)を国の責任で行っていく必要があると思います
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2月16日のダイヤモンド・オンラインの記事(180216_日本だけが漁獲量減少、ノルウェー漁業を見習うべき理由)が刺激的です!
③ 日本が大量に漁獲し、消費しているマグロは、その資源の維持について責任があると思います。マグロの漁獲量と消費量のサイトを見ると、日本は世界中のマグロの消費量の約2割を占めており、日本人が好むクロマグロについては全漁獲量の72%、ミナミマグロについては全漁獲量の98%を消費していることが分かります
地中海、大西洋のマグロについては、欧州各国が資源の管理をしていますが、昨年は資源量が回復し漁獲割り当てが増加しました(参考:大西洋のマグロ管理に学べ)。一方、太平洋のマグロについては資源が減少しつつあり日本のイニシアティブが求められるところです
先日、テレビで大西洋のマグロ資源に関わる番組を見る機会がありました。大西洋マグロの産卵場所は地中海沿岸にあります。産卵時期にこの海域で捕獲(巻き網漁)したマグロは船に水揚げせずに、そのまま時速2キロで生かしたまま移動し肥育用の生簀に移すことで、抱卵したマグロは移動の途中や生簀の中で産卵するそうです。産卵を終えたマグロは生簀で肥育させた上で出荷するとのことです
太平洋マグロも小型魚を取り過ぎない様に漁獲規制を行っていますが、あまりうまくいっていない様です。この1月には既に割り当ての9割に達し漁獲規制が始まりました。マグロはえ縄漁では小型魚(30キロ以下)も、産卵直前の親マグロも針にかかってしまえば水揚げしない訳にはいかず、こうした規制の効果には疑問が残ります。太平洋でも産卵する海域は特定されており
地中海でやっている様に産卵するまで水揚げをしないような方法を取れないものかと考えてしまいます
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*2018年10月7日の日経新聞電子版に以下の様な分かり易い統計図表が出ていましたのでご紹介します;
④ 日本では大分昔から養殖漁業が盛んになっています。今や高級魚を中心に沢山市場に出回っています。マグロについても近畿大学が完全養殖(生簀で生ませた卵から成魚を育てること)に成功し、既に「近畿マグロ」というブランドで市場に出ています。また、今年シラスの大不漁が伝えられているウナギの完全養殖についても、もうすぐそこまで来ているといわれています
養殖についての残された課題は餌にあります。餌を魚粉に頼っている間はイワシなど、そのままで食用になる魚を大量に消費することになるので、コストの面と資源量の面で必ずしも養殖がいいとは言えません。植物由来の餌も一部魚種について使われていますが、味や香りに影響を与えてしまうと言われています。味、香りに影響を与えない植物由来の飼料とか、タンパプ源として昆虫を使うとか、今後の開発が待たれます。また、養殖魚の生育環境の管理などではAIの活用も考えられます
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2018年12月8日に漁業法改正案が可決・成立しました。この改正法は70年ぶりの大改正で、漁業の成長産業化による漁業者の所得向上と、若者の就業を後押しする狙いもあります。詳しくはを漁業法等の一部を改正する等の法律案の概要ご覧ください
あとがき
第四次産業革命の黎明期に当たって、「人の働き方」がこれからどう変わるかについて思いつくままに書いてきましたが、その結果として「人の生き方」も変わるはずですが、この点についてはあまり書くことができませんでした。特に激増する高齢者が、今後どう価値ある生き方ができるかについては殆ど触れることができませんでした。今後更に時間をかけて勉強していきたいと思います
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2018年3月4日の日経新聞電子版に、以下の様な記事(なるか一次産業リバイバル)が出ていました。また、ウナギ資源問題でも(歴史的不漁のシラスウナギ_甘い資源管理の限界)という記事が掲載されています
以上