エアライン・ビジネスについて

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私は、新卒で日本航空に入社してから約40年間エアライン・ビジネスに関わっていました。技術系で入社したこともあり、最初の約2年間は整備の現場で働き、その後17年間は、日々の航空機の整備計画と運航計画の調整を行って来ました。

この調整作業の具体的な内容をざっくりと表現すると、中長期的な事業計画から始まって、年間の計画月間の計画週間計画日間計画と流れて行く計画サイクルに基づき、①お客さまへのチケットの販売(営業)、②バイロットの乗務計画③ CA(Cabin Attendant/客室乗務員)の乗務計画④空港における日々のお客様に接する作業(チェックイン作業、など)に従事する人たちの出勤計画 航空機の出発前・到着後の整備作業計画と整備士の出勤計画 その他協力会社の作業計画、などを実行可能な計画として纏めていくということになると思います。謂わば、エアライン・ビジネスの最前線であり、エアラインを利用されるお客さまが見たことのある光景とかなりダイレクトに結び付いている部分ではないかと思います
40歳後半になって、経営企画室に異動となりました。ここではお客さまの目には届きにくいと思われるエアライン・ビジネスのコアに当たる業務に従事することになります。
具体的には、上記のうち 中長期的な事業計画、年間の事業計画に関して主体的な役割を演ずることとなりますが、国内線・国際線の投入路線、投入便数計画を立てるとともに、これらの計画を遂行するために必要となる航空機の手当て(航空機の購入計画、退役計画)も当然必要になります。一般に大手エアラインが使用する航空機は、1機当り数十億円~数百億円もする高価な資産であり、この計画の採否は経営者の判断に委ねられることになりますが、担当者としては、経営判断の助けになる各種のデータを準備することになります
その後50歳前半は、当時政治的な理由で台湾路線に特化した日本アジア航空(日本航空の100パーセント子会社)の台湾支店に駐在する機会があり、営業の最前線を経験することができました
1990年代の半ばになって、日本のエアライン・ビジネスにも遅ればせながら自由化の嵐が吹き荒れ始め、大手のエアラインも運賃の低下に耐えうる事業運営を迫られることになりました。
日本航空では、特に運賃の低下傾向の大きい国際線チャーター便に特化した航空会社(JAZ/ジャパン・エア・チャーター)を設立しました。また、国内線では、スカイマーク、エア・ドゥー、などの LCC(格安航空会社)が設立準備に入ったことをきっかけに、日本航空も採算性の悪い小型ジェット機(B737-400)を専門に運航する航空会社を設立することとなり、私もその経営陣に加わることになりました。殺人的な?忙しさの中で約2年半で運航開始にこぎつけましたが、この中でエアライン・ビジネスの全貌と、航空会社設立のノーハウを学ぶ事ができた様に思います
日本航空退職後、友人の誘いで桜美林大学でエアライン・ビジネスを教える機会(約7年間)ができました。
新聞やテレビにはエアラインに関わるニュースは国民の関心が深く、かなり優先的に取り上げられます。また、パイロットや CAだけでなく、一般職の希望就職先の上位にもエアラインが顔を出しています。
そんな訳?で誰の役に立つかわかりませんが、私のエアライン・ビジネスに従事した経験を思い出しながら、以下のテーマに沿ってエアライン・ビジネスとは何か、についてできる限り分かりやすく説明していきたいとおもいます
尚、エアライン・ビジネスで経営上最も重要なことは、言うまでもなく「安全運航」ですが、このテーマについては私のブログ「航空機の安全運航を守る仕組み」をご覧になっていただければお判りいただけると思います

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