2_航空機の安全運航を守る仕組み_全体像

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-航空機の安全運航に関わる人々-

航空機の安全運航に関わっている人々を区分すると、以下の三者に集約することができます;
① 航空機、エンジン、装備品のメーカー(製造事業者)
② 航空会社及び航空会社の業務を受託する事業者
③ 規制当局(日本に於いては国土交通省)

航空機の安全を守る仕組みの中で①、②の事業者の責任と、③規制当局の責任との関係には、“安全性”と“経済性”をあるレベルで“妥協”させる必要がある為に常に緊張関係が存在します(馴れ合いの関係は厳禁!);

分かり易く例えれば、「安全性を過度に追求して飛行機を出来るだけ丈夫に作ろうとすると、重くて飛べなくなる」ので、双方どこかで妥協しなければ、航空機という便利な移動手段を利用できなくなるということでしょうか

また、想定外の事象が発生して深刻な事故となった場合、事故調査委員会の改善勧告には事故原因となった事象に対して①~③それぞれの関与の程度と、再発防止の為に必要な具体的な対策が盛り込まれます。

尚、チェルノブイリの事故以降、原子力に限らず重大事故の事故報告で、事故を起こした当事者の“安全文化の劣化”を事故の主因とする例が多いようですが、航空機の場合、事故後も多くの航空会社の同型機がお客様を乗せて世界の空を飛び続けており、事故原因及びその対策は、事故当事者以外でもその教訓が生かせるように出来る限り具体的であることが求められます。

-安全運航を守る仕組み(概要)-

1.航空機を設計、製造する段階

ボーイング社・製造ライン
①の製造メーカー、及び③の規制当局は、設計・製造の時点で得られる最新の知識と経験を踏まえて安全な航空機を作る責任を負っています。従って、新しい技術を取り入れた航空機を設計・製造する場合、安全性の検証に時間がかかるので、設計を始めてから規制当局が安全であるとして販売を許可するまで5年以上の年月を要することも最近は稀ではありません。
尚、航空分野では安全な航空機を、耐空性(“Airworthiness”)がある航空機と表現します。規制当局は安全であると判断した航空機に対して「耐空証明書」を発行します。従って耐空証明書を持っている航空機が販売開始直後に事故を起こした場合、製造段階でのミスが無い限り、規制当局も相応の責任を負う立場に置かれていることになります

2.航空機を運用する段階

JAL787飛行中の写真
A.製造メーカー及び航空会社は、航空機の運用段階で、設計、製造時の耐空性維持・向上させる責任を負っています。この為、航空機、エンジン、装備品の品質を常にモニターし、必要な対策を講じていく必要があります。
この項目に関しては、“_Hardwareに関する品質管理”のところで詳しく説明いたします。
尚、最近の高機能のHardwareはSoftwareと一体化しており、Hardwareに組み込まれたSoftwareの品質管理もこの項目に含まれることとなります。
*Hardware:航空機に装備されている高機能の機械装置や電気・電子機器のことです
*Software:上記装置や機器を動作させる為に組み込まれているプログラムのことを意味します

B.航空会社、及び航空会社の業務を受託する事業者は規則・基準を守り、且つ人的なミス(Human Error)を防止する為に不断の努力を行う責任を負っています
この項目に関しては、“8_Humanwareに係る信頼性管理”のところでで詳しく説明いたします

C.規制当局は、空港及び航空路の安全性を確保する責任を負っています。具体的には、航空交通管制の実施、航空保安施設・設備の整備・運用、NOTAM等情報の提供、などが該当します
*NOTAM(“Notice to Airmen”):安全運航に関わる飛行場、運航方式、軍事演習、等の情報提供。パイロットや運航管理者(後述)は毎便出発前にこの情報を確認した上で飛行計画を立てます

D.規制当局は、航空会社が健全な経営を行う能力があることを常に監視する責任を負っています(指定航空事業者制度)。
航空会社が健全な経営を行っていない場合、ともすれば過度のコスト削減に走り、運航乗務員の労務管理・健康管理や航空機や装備品の整備管理、等の面で規則違反を犯すリスクを高める可能性があるからです

3.想定外事象に対する対応
製造メーカー航空会社、及び規制当局設計時に想定していなかった事象が発生した場合、迅速に以下の対応を行う義務があります;

A.製造メーカーは、設計時に想定できていなかった事象に対して、安全性を担保するために、航空機や装備品の設計変更、操縦手順の変更(運航関連マニュアルの変更)、整備手順の変更(整備マニュアルの変更)、などの対応を行う義務があります。具体的にはこれらの対応を記述した “SB”(Service Bulletin)の発行を行います。これは自動車の場合,メーカーによる “リコール”と本質的には同じと考えていいと思います。

B.規制当局は、製造メーカーの対応を独自に評価し、必要があればその対応の早期実施を航空会社に強制することができます。これは、耐空性改善通報(米国の制度では、これを“AD”/Airworthiness Directivesといいます)という形で命令されます。航空会社は、この耐空性改善通報(“AD”)を指定された期限以内に実施することが義務付けられています。

尚、規制当局は耐空性改善通報(“AD”)を発行するに当たって、緊急度が高ければ運航キャンセルが発生する可能性のある厳しい実施期限を設定することも可能であるし、緊急度がそれ程でない場合は耐空性改善通報(“AD”)実施に必要な部品の調達や、運航キャンセルのリスクなどを考慮して、比較的緩やかな実施期限を設定することもあります。いずれにしても同種事故発生のリスクと実施時期には、当然相関関係があり、“安全性”と“経済性”を“妥協”させることに伴うリスクは規制当局が負うことになります。

<参考> JL123便事故関連のAD

耐空性改善通報(“AD”)の実施時期を設定するにあたって必要となる各種情報(実施しないことによるリスクの評価、改修仕様書、部品調達状況、等)は製造メーカーに提供する義務があることは言うまでもありません

C.事故が起こった場合、事故調査委員会は、事故の原因究明と、改善勧告の提示します。製造メーカー航空会社規制当局は改善勧告を遵守する義務があります

-安全運航を守る仕組み(もう少し具体的に)-

1.設計段階; 
設計段階で関わっている人々の具体的な責任の内容については、“3_耐空証明制度及び型式証明制度”の項で詳しく説明いたしますが、概略以下の様になります;
(1)設計基準の制定;
航空機の構造強度や、信頼性のレベルなど(←航空機の設計は“絶対安全”を前提としていない)航空機を設計する時に必須となる基準は規制当局が法体系の中で明示します。日本においては、航空法、耐空性審査基準、耐空性審査要領などで詳細に基準が決められています。また米国においては“FAR/Federal Aviation Regulation”の中で同様の内容が一括して納められています

(2)個別の設計
個別の設計は航空機、エンジン、装備品の各製造メーカーが設計基準に基づいて行いますが、技術革新に伴う新しい設計基準が必要になった場合、メーカーがまず規制当局に提案し、規制当局がこれを評価して新基準を制定致します

(3)使用する部品類の承認;
使用する部品が標準的な部品であった場合、そのベースとなっている規格(例:JIS規格、MIL規格/軍の規格、実質的に業界での標準となっている規格、など)を規制当局が承認します。
一方、メーカーによる独自設計の部品の場合、規制当局が個別に承認を行います(仕様承認制度  

(4)整備プログラムの開発;
航空機が実際に使われている期間は、人気機種の場合数十年に及びます。この長い期間航空機を安全に運航させるためには定期的な整備が必要になります。この中で設計の前提となっている重要な整備項目(例えば、重要構造物の定期的な検査など)は、規制当局が設計の段階で選定、承認する必要があります。この整備項目のことを“必須整備要目(CMR/Certification Maintenance Requirement)”といいます
また、“必須整備要目”以外の整備項目(例えば定期的な検査、給油、部品の交換、など)については、メーカー、航空会社、規制当局、専門家等が集まって経済的な整備(例えば、航空機の稼働時間が長くできるように、など)が可能となるように整備項目を決めますが、これらの整備項目のことを“MSG整備要目”といいます。
*MSG:Maintenance Steering Group
各航空会社は、上記の“必須整備要目”と“MSG整備要目”を組み合わせて航空機の運航の合間に整備を行うことになりますが、この組み合わせのことを“整備プログラム”と呼びます。“整備プログラム”の審査、承認も規制当局が行います    

2.製造段階
製造メーカーは、安全な航空機を製造する為に必要な施設・設備、人員配置、品質管理体制、等を含む製造計画を立案致します。規制当局はこの計画を審査し、許可を与えることで製造が開始されます。また、規制当局は、次項の型式証明の検査の一環として製造過程についても検査を行っています

3.型式証明の取得;
航空機を個別に審査して耐空証明を与えることとは別に、同型式の航空機群(例えば、B787、A320、など)に対して包括的に耐空証明を与える制度があり、これを“型式証明”制度といいます(自動車の世界にも似たような仕組みが取り入れられています)
型式証明を受ける為には、製造メーカーは、各種の試験を行い、設計通りの性能が出ていることを確認した上で、必要な書類を添えて規制当局に申請します。規制当局は、これを審査した上で“型式証明書”を発効する事になります。尚、エンジンについては、航空機とは別にエンジンメーカーが性能試験を行い、規制当局はこれを確認した上でエンジンの“型式証明書”が発行されます
*必要な書類とは:設計書、設計図面、部品表、製造仕様書、飛行規程、整備手順書、重心位置、など

4.運用段階;
(1)航空会社は、新しい型式の航空機を購入した場合、運航を開始する前に整備作業を実施する規準となる整備規程業務規程を作成し規制当局に認可申請をします。規制当局は、これを審査し、所定の内容が備わっていることを確認し承認いたします。詳しい内容については4_整備プログラム5_航空整備に係る人の技量の管理6_認定事業場制度の項目の中で説明いたします
*整備規程とは:整備作業を実施するにあたって必要となる、方針、各種の基準や手順(整備マニュアルなど)などが包含されています。上述の整備プログラムについてもこの規程に含まれています。
*業務規程とは:安全・確実な整備作業を実施するにあたって必要となる施設・設備、人員、品質管理体制、等が記載されています

尚、航空会社は、認可を受けた整備規程、業務規程を厳格に実施する義務を負っており、これに違反して整備作業を行った場合、航空法違反と見做され処罰の対象になります

(2)航空会社は、導入した航空機を運航に供する前に耐空証明書の発行を申請します(その航空機が型式証明を持っていたとしても一機毎に耐空検査が必要になります)。規制当局はこれを審査し、所定の要件を満たしていれば耐空証明書を発行いたします。尚、耐空証明書の有効期限は原則1年間ですが、安全運航の実績を積み重ねることにより“連続式”の耐空証明書を取得することができ、実質的に1年毎の耐空証明取得の手続きを省くことが可能です。また規制当局は、耐空証明を与えた航空機に対し運用限界等指定書航空機登録証明書なども発行します
*運用限界等指定書とは:航空機が安全に飛行できる飛行速度や、機体にかかる荷重の限界を指定しています(←航空機の設計の段階で決まります)
*航空機登録証明書とは:世界中全ての民間航空機は何処かの国に登録されています。人間と同じように国籍を持っていると考えると分かり易いと思います

(3)航空会社は、導入した航空機を長期間運用する過程で、型式証明を受けた原設計からの変更が必要となるケースが発生します。これらの変更が耐空性に関わると見做される以下の場合は、その変更内容を規制当局に申請し、規制当局の認可を得る必要があります(一般にこれを“Deviationの管理”と言います);
* 大修理:航空機が大きな損傷を受け、重要な構造部分(“一次構造”といいます)の修理を行った場合
*大改造:航空機の重要な構造部分や重要なシステムの大幅な変更が行われた場合(追加型式証明制度)
*仕様承認を受けた部品の変更 を行なう場合

(4)航空会社は、定期的な整備や修理、改造を行った履歴を完璧に管理する義務を負っています。この履歴の連続性が失われた場合、その航空機は耐空証明が失効し運航出来なくなります。例えば、簡単な定期整備の実施期限をうっかり超過してしまった場合でも、運航を即座にキャンセルしてその作業を実施しなければなりません

(5)規制当局は、航空機を安全に運航させる為のパイロットの技能基準、健康状態、勤務体制の基準などを設定します。これらの基準は概略以下の様な区分で法体系の中に明示されています;
*パイロットの操縦技能に関わる資格区分(国が免許の付与を行っています)自家用操縦士免許(Private Pilot License)、事業用操縦士免許(Commercial Pilot License)、定期運送用操縦士免許(Airline Transport Pilot License)、航空機関士免許(Flight Engineer Licence;最近航空機関士が不要な航空機が増えています) — 自動車であれば自動二輪、小型、中型、大型、一種、二種の免許区分の様なものと考えてよいと思います。ただ航空機の場合、自動車と違って機種による限定があり、一般に機種が変われば資格の限定変更訓練及び免許取得を行う必要があります
*パイロットの任務に関わる資格区分:機長(Captain)、副操縦士(Co-Pilot)、MPL(Multi Pilot License;最近導入された制度で機種限定が無い)、航空機関士(Flight Engineer)、操縦教官(Flight Instructor)、査察操縦士(国に替わって機長の技量審査を行う資格:後述)
*航空機の装備、運航方式などに関わるパイロットの資格区分:計器飛行証明、CATⅡ、Ⅲ操縦資格、など
*パイロットの定期技能審査の義務化:6ヶ月に一回実施
*パイロットの定期健康診断の義務化:一年に一回実施、診断項目の設定
*パイロットの飛行時間、休養時間の制限:月間の飛行時間の上限/100時間、年間の飛行時間の上限/1000時間

(6)規制当局は、非常事態(不時着、火災発生、など)発生時に旅客の誘導、救出を着実に実施するため、客室乗務員(Cabin Attendant)に、以下の様な規準を定め、法体系の中に明示しています;
*旅客50名につき1名以上の客室乗務員配置の義務化
*客室乗務員の非常脱出訓練の義務化

*客室乗務員の任務に関わる資格区分の設定:先任客室乗務員
*客室乗務員の飛行時間制限:月間の飛行時間の上限/120時間

(7)規制当局は、安全な運航を行うためにパイロットと協力して、地上において運航計画の作成、出発から到着までの運航支援を行う運航管理者(Dispatcher)の配置を義務付け、その資格管理に関わる規準、配置基準などを法体系の中に明示しています

(8)航空会社は、新しい型式の航空機を購入した場合、運航を開始する前に、運航するための基準となる運航規程を作成し規制当局に認可申請をします。規制当局は、これを審査し、所定の内容が備わっていることを確認し承認いたします。尚、これらの規程は上記(5)、(6)、(7)で述べられている法的要件を包含していなければならないことは言うまでもありません。
*運航規程とは:安全で円滑な運航を実施するための各種の基準を定めており、これらは以下の三つのマニュアルに集約されています;“オペレーション・マニュアル/Operations Manual”、“航空機運用規程/Aircraft Operating Manual”、“ルート・マニュアル/Route Manual”

(9)航空会社は、自社の運航を維持する(運航路線・運航便数を計画通り定時に運航すること)体制を整えなければなりません。その為には、必要なパイロット、客室乗務員、運航管理者を確保し、その資格を維持すること、パイロット、客室乗務員の勤務基準(乗務時間、休養時間の基準/航空法、休日数の規準/労働基準法)を守ること、必要な整備を実施できる体制を整えること(自社人員による整備 AND/OR 委託による整備)

―規制当局による審査、認可等の合理化-

上述の通り航空機の設計・製造・運用の全局面で航空機の安全運航を担保するために規制当局が果たす役割は極めて重要、且つ多岐に亘っています。一方、これら全ての規制業務を規制当局自身が担い、自己完結させることは、①人的リソース確保の面、②高度に専門的な領域における専門性の確保の面、等からほぼ不可能です。従って、以下の様な合理的なシステムを導入して必要最小限の人員で規制業務を行っています。 

1.重複する審査、認可の行為を一括して行う仕組み
(1) 前節で概略説明した“型式証明制度”は1機ずつ行わなければならない“耐空証明”の審査項目を劇的に減らすことが可能になります。尚、この制度は航空機の安全性を理論的に理解するために必須のことなので“3_耐空証明制度・型式証明制度の概要”のところでもう少し具体的にに説明いたします

(2) 航空機の長い寿命の中で、①安全性の向上、②経済性の向上、などの為に各種の改修が行われますが、“追加型式証明制度”を導入することにより、設計が変更された部分のみを独立させて管理することで同種の変更に係る審査業務を大幅に減らすことが可能となります

(3) 航空機の耐空性は、エンジンをはじめとする重要な装備品が装着された状態で検査を受け耐空証明書が発行されている訳ですから、本来これらの装備品を交換する毎に耐空検査を受けなければならないことになりますが、“予備品証明制度”を導入することにより、航空機に装着されていない状態で、装備品単独で耐空性の確認を行うことにより、交換に伴う耐空証明検査を省略することができる仕組みを作っています

尚、型式証明を受けた航空機に装着されている装備品や標準品以外の部品は、開発に膨大なコストがかかっている為かなり高価になります。これは製造メーカーにとっては当然のことですが、航空会社にとっては大きなコスト負担となります。従って規制当局には負担となりますが、これらの代替品について独立して審査、認可を行うことで高水準の品質を確保しつつ、装備品メーカーと、部品メーカーとの間の競争環境を作り出すことが可能となる仕組みを導入しています。これを“PMA(Parts Manufacturers Approval)制度”といいます

B.システム審査の考え方の導入による審査、検査(確認)業務の合理化
(1) 認定事業場制度;
認定事業場制度とは、メーカー、及び事業者の以下の能力に関し規制当局が予め審査を行い、充分な能力があることを確認したうえで認定事業場の資格を付与し、規制が行うことになっている検査(確認)等の権限の多くの部分を事業者に委譲する仕組みです。認定事業場は2年に一度の更新検査を受検する必要があります。また、法令違反、品質上の問題、等が発生した場合、認定事業場の資格の停止、臨時の立入り検査、等が行われることになっています。詳しいことは“6_認定事業場制度”の項で説明致します
*認定事業場の能力の区分:①航空機の設計及び設計後の検査の能力、②航空機の製造及び製造後の検査の能力、③航空機の整備及び整備後の検査の能力、④航空機の整備又は改造の能力、⑤装備品の設計及び設計後の検査の能力、⑥装備品の製造及び完成後の検査の能力、⑦装備品の修理又は改造の能力
*上記①及びについては、認定事業場の資格を得ることにより、メーカーは設計、製造をほぼ自主的に行うことができます。上記③、④について認定事業場の資格を得ることにより、航空会社、及び整備会社は航空機の整備、改造後の耐空検査を自主的に行うことができると共に、耐空証明の有効期間を1年間から無期限にすることができるようになります。また⑦について認定事業場の資格を得ることにより、航空機及びエンジンの重要な装備品の予備品証明を自主的に発行することができるようになります

<参考> 航空機製造事業法との関連;
航空機製造事業法及びその関連規制にも、事業者の認定、製造や整備、改造に係る国による確認の仕組みはありますが、法の目的が、“事業活動の調整”及び“生産技術の向上”とされており、航空機の安全を担保する仕組みとはいえません

(2) 指定航空従事者養成施設制度
航空会社の整備部門、運航部門、整備会社、航空専門学校(整備、パイロット)、等の施設・設備、人員(教官等)に関し一定の条件を満たすことを審査・確認した上で航空従事者養成施設の指定を行い、以下の資格試験に関し、実地試験(実技試験・口頭試問)の全部又は一部の免除、及び、技能審査の委任(国土交通大臣が認定した技能審査員が行う)ができる仕組みです;
*資格:①航空整備士(機種別、等級別)、航空工場整備士(機体作業の種類別、装備品の品目別)、②パイロット(自家用操縦士、事業用操縦士、定期運送用操縦士;計器飛行証明、CATⅠ・Ⅱ・Ⅲ飛行資格、等)資格の取得訓練、審査、パイロットの英語能力の訓練及び資格取得

(3) 指定本邦航空運送事業者制度
安全運航の要となる機長の資格審査は、規制当局にとって大変重要な任務ですが、機長としての資質(危機における判断力、人格、経験、等)を規制当局のみで判定するには限界があります。そこで、一定の基準を満たす航空運送事業者に対し、自社の機長のみを対象として、機長候補者の訓練や認定・審査業務を代行させることにより、国による認定・審査業務を省略する制度です。
指定に当たっては、規制当局が、訓練に係る施設・設備、人員(教官等)が一定の条件を満たすことを審査・確認すると共に、対象の航空会社の機長の中で、機長としての資質を判定する能力のある者を“査察操縦士”として認定いたします。この査察操縦士が、規制当局の審査官に替わって、機長昇格に係る審査、及び機長の定期技能審査を行います

(4) 外国航空機の輸入に係る重複業務を合理化する仕組み
外国からの輸入機に対する型式証明の審査業務については、輸出国の当局との間で締結する“航空機等の証明に係る相互承認協定”に基づき、設計検査、製造過程検査、完成後の現状検査を大幅に省略できるようにした仕組みです

以上