高齢者の為のスキー技術を実践してみました!

菅平スキー場

-はじめに-

昨年はスキーの下手な私が、無謀にも!高齢スキーヤーの為の技術の解説をしてしまいました(→“高齢スキーヤーが安全なターンを行うには”;“高齢スキーヤーが疲れないスキーを行うには”)。語ってしまった手前、自身でその有効性を確認しなければ全くの空論に終わってしまうと思い、とにかく実践を試みてみました
実践に選んだスキー場は長い歴史を持つ「菅平スキー場」です。長いコースは取れませんが、リフト1本分の色々なコースを選ぶことができ、コース整備も毎日完璧に行われていますので高齢スキーヤーにとっては格好のスキー場だと思います
4泊5日のスキー行の前半は昔全日本のデモンストレーターに選ばれたことのあるコーチによる最新技術の指導(“スキー指導員”を対象とした本格的なものです)があり、後半はポール(柔軟なプラスティック製の筒を使った当たっても痛くないポール)で制限されたコースを滑るという、正にスキー技術の実践(実験?)には願ってもないスキー行となりました。 以下はその報告です;

-安全な谷回りターンの実践について-

高齢スキーヤーにとって最も大切な技術は、「腿を立てて滑ること」、「スキーをズラせて一定の速度で滑ること」であること、またこの技術が試されるのは「谷回りターン」である事は既に前2回の投稿で説明したところです
「谷回りターン」が難しいのは ①進行方向がほぼ逆になる(⇒進行方向の“慣性力”をどう手なずけるか!)、最大傾斜線を越えるために何もしないと重力で加速する(⇒“重力加速度”ををどう手なずけるか!)ためであると思います。指導員クラスの名人は、この技術の壁を自動化された重心の前後左右の巧みな移動で難無く、美しく!乗り越えてしまいます。我々高齢スキーヤーは、この技術の壁を“頼りない筋力”と“衰えたバランス感覚”で乗り越えなければなりません

今回の実践で、高齢スキーヤーにとって最も難しい「谷回りターン」でカギとなる部分はターン直前の「ニュートラル・ポジション」にあることが実感できました。「ニュートラル・ポジション」とは、ターンを終えた後、次のターンに入る前の「斜面に対して垂直に立つ」ポジションのことです。このポジション前後のスキー操作で大切に感じたポイントは;
. ニュートラル・ポジションに入る前にスキーが急に加速しない程度まで十分にスキーを回し込むこと(⇒落ち着いて以下のやや難しいターンの操作に入ることができる)
.回し始める前にしっかりと2本の足で雪面を踏みしめること(⇔“加速防止”の意味もあると実感できました)
.その後内足を軸にして(⇒回転の軸にできる程度に内足に荷重を残す)外足を回し込むこと(⇒回し込む時のズレの量でターンのスピードをコントロール出来る感覚が得られました)

.回し込む外足は、内足より必ず後ろ(⇔ターンを押しズラしてリードするということは必然的に押す外足が後ろになる)になり、この時にできた内足と外足の前後の位置関係が身体の向き(骨盤の向きと同じ)を決定します。この向きが“外向姿勢”になります。また、回転中に横のバランスを取るために下半身をターンのやや内側に置き、これとバランスするように上半身をターンの外側に倒す姿勢を取れば、これが“外傾姿勢”になります。外傾姿勢を作らない場合、横のバランスを取るために手やストックを広げる姿勢を取る人もゲレンデで見受けられましたが、どちらを選択するかはその人個人の美意識によると言えるのかもしれません!
.上記 1~4 のプロセスで、“腿は常に立てた状態”でスキーを操作し、上半身は過度に前に倒さず、腿の上でできるだけ安定させるようにします。こうすることで上下方向の擾乱に対して可動できるのは足首だけになりますので、高速で大きなこぶに遭遇すると上下の高低差を吸収できずに“飛んで”しまいますが、高齢者はそういう斜面には行かないということで整理したい?と思います

元デモンストレーターのご指導では、「ターンの後半はやや“かかと荷重”、次のターンの始動期以降は“重心をやや前方に移す”」ことが美しい回転弧を作るということでしたが、私の様に筋力の無い高齢スキーヤーには前後方向の意識的な重心の移動は、急斜面になると「後傾→暴走」のリスクを高めるのではないかと感じました。また;
ニュートラル・ポジションからターンを始動する方法として、「伸ばし押し出し」と「曲げ押し出し」を練習しましたが、初心者の頃に習った「抜重」の要素が入ってしまうと、斜度がきつくなった時に“スキーが走り出し”てしまう感覚があること、また“曲げ”や“伸ばし”の動作を必要以上に大きく取ることは、筋力の無駄遣いに通じる様に感じました

今回のスキーツアーの後半では、ポールで制限されたコースを自身が安全だと思う速度で滑り降りる練習が思う存分できました。ここで得られた技術のポイントは;
.先の状況を把握し、ポールに入るかなり手前からズレを使った方向と速度の制御を行うことにより、高齢者でもポール近傍に出来た不整地を安全に滑ることができる感覚を得ることができました

また、今回は寒波の襲来と重なった為、せっかく整地された斜面も午後には10~20センチ程度積もった新雪が荒らされた斜面となりました。こうした荒れた斜面では、開脚で滑るとスキーが取られてバランスを崩してしまう場面が度々あり、元デモンストレーターのコーチのご指導では;
.新雪や荒れた雪には“密脚”(2本のスキーを密着させて滑るという意味の造語!のようです)で滑り、内足を遊ばせない(内足の加重をゼロにすると雪に取られる)ことが必要とのことでした。実践の結果うまくいったとは言えませんでしたが、“密脚”させる為には内足の加重が重要であることはある程度体感することができました。高齢スキーヤーにとってはちょっとハードルが高いのですが、適切な斜面(急斜面でも緩斜面でもない)を選べば、恰好なチャレンジ目標になるのではないでしょうか。ただ、整地された斜面に比べバランスのズレが大きい事は否めないので、相応の疲労があることは言うまでもありません!

-話は脇道にそれますが!-

技術論からちょっと離れて、今シーズン滑った朝里温泉スキー場(北海道)と菅平スキー場で、高齢スキーヤーが感じているストレス(ひょっとして私だけかもしれませんが)についていくつか勝手な意見を開陳したいと思います;
スキー場へのアクセスについて
高齢スキーヤーにとって、凍え死なない!様に目一杯厚着をして、重いスキー靴を履き、重いスキーを担ぐのは相当な重労働です。できればリフトのそばまで車で行けたら幸せなのに、というのが本音だと思います。菅平スキー場では宿がスキー場のすぐそばにあるのであまりストレスを感じなかったのですが、浅利温泉スキー場では酷い目にあいました;

駐車場からスキー場へのアクセス
駐車場からスキー場へのアクセス

上の写真でお分かりの様に、駐車場からスキー場までは車道を長い距離歩かされ、更に急な階段を昇って行かねば到達できません。70歳を超えた私の様な高齢スキーヤーにとっては地獄!の様なアクセスです

従業員用の駐車場とスキー場下部のデッドスペース
従業員用の駐車場とスキー場下部のデッドスペース

一方、このスキー場の従業員用の駐車場は上の左の写真の様に、スキー場との高低差があまり無いように作られています。スキー客を“お客様”とは思っていないのかもしれませんね!
また、右の写真で想像できると思いますが、スキー場の下部にはかなり広いデッドスペース(滑走エリアではない)があります。このスペースに、車が一時停止して人、スキー用具を降せるロータリーを作れば、運転手を除き駐車場との距離や高低差は問題にならなくなります。また、駐車場には車を整列駐車させるための要員が数人居ました。この内の一人がマイクロバスで人員輸送を担当すれば全ての問題をクリアーできると思ったのですが、、、

2.スキー場の施設
殆どの高齢者は“頻尿”という重荷を背負っています。トイレの回数を減らすために水を控えれば恐ろしい脳梗塞のリスクが高まりますのでそれは絶対にできません!その結果、トイレ探しと、一緒に滑る仲間との暫しの“別離”とが、スキーを快適に楽しむ為の障害になっています。通常休憩を取る時にトイレを済ませますが、吹雪の時などはもっと簡単に用が足せればというのが高齢スキーヤーの切なる願いです
以前、どこかのスキー場でケーブルか高速リフトの乗り場(降り場?)にトイレを利用できるところがありました。ケーブルや高速リフトは施設が大掛かりなのでトイレを作るのが容易であるということでしょうか。考えてみればリフト要員は何処でトイレを使用するのでしょうか? もしリフト要員用のトイレがあるならスキー客にも使わせることを考えてみたら如何でしょうか

若いスキーヤーはあまり感じないかもしれませんが、リフトの座席の高さが低いと脚力が衰えた高齢スキーヤーには結構厳しいものがあります。リフトの座席で足をさらわれた後、座面にドシンとおしりをぶつける結果となり、貧弱となった尻筋肉のクッションなしに尾骶骨に衝撃が加わることになります
勿論、緩斜面に設置された幼児・小学校低学年用のリフトであれば低い座席はやむを得ないと思いますが、大人用のリフトで雪掻きをサボった結果、座席の実質的な高さが低くなっているケースなどは、思わずリフトの介助要員を睨みつけてしまいます!

3.宿の食事
菅平に限らず最近の民宿を利用して感じるのは、旅館や会席料理の真似をしているのではないかと思える程におかずの種類が多いことです。ただ、宿泊料金から考えて旅館や料亭の様に腕利きの料理人が沢山いる訳でもなく、また材料も吟味されているとは思われませんので、恐らくは冷凍食品を多用しているものと想像しています。結果として料理を残す人も多く、昨今話題となっている“食品ロス”の観点からも好ましいとは思えません。品数を揃える為にコストをかけてしまった結果として和食のベースとなる御飯みそ汁漬け物などには余りお金をかけていない様に感じます。スキーを始めた頃の民宿では、御飯、みそ汁、漬け物(例えば食べ放題の野沢菜など)の三点セットは頗る美味しく、それだけで十分に食欲を満たしてくれたことを思い出します

外人スキーヤーの方が多くなったニセコなどでは、夕食はスキー場地域に進出してきた各種レストランで取ることが多く、宿は所謂“B & B”(Bed とBreakfast/朝食を提供するだけ)に変化しつつあるとか。宿泊客にとっても自分の好きな食事を選ぶことができ、また若いスキーヤーなどはそこでの出会いを楽しんでいるようでもあります。菅平の宿でそんな話をしたら、菅平は国立公園内にあるので、そうしたレストランは開業できないのだそうです。残念!
であれば、民宿は民宿らしく自家栽培、あるいは地元のおいしい御飯、みそ汁、漬け物の三点セットと、手間のかからない大皿料理いくつかで勝負したらと思いますが、如何でしょうか。これに持ち込み酒を許可して貰えれば完璧だと思います

以上