はじめに
屋上菜園の一年間の作業を俯瞰すると、初春から初夏にかけての時期は以下の様な作業や、昨年の実績を踏まえた幾つかの新しい試みを考え、且つ具体化しなければならず、中々大変な時期と言えます。主なポイントは;
* 冬の期間に植え付け、5月末頃に収穫する予定の野菜(ジャガイモ、タマネギ)
* 秋冬野菜収穫後のコンテナの土の再生(特に大型コンテナはかなりの重労働)
* 各種夏野菜の種まき、育苗、植付
* 昨年の夏野菜栽培の反省に基づく工夫(温暖化に伴う7月からの猛暑への対応)
* 長ネギ供給責任を果たすこと(昨年後半には長ネギの供給ができなかった)
以下は、そのご報告になります
作業報告
<ジャガイモ、タマネギの生育状況>
ジャガイモは、昨年と同じ「きたあかり」を植え付けました。昨年は、ジャガイモのコンテナにヨトウムシ(日中は地中に居て、夜になると地上に出て葉を食い荒らす)が住み着き、毎晩ワイフとヨトウムシ退治をしたものの、葉がかなり食い荒らされてしまいましたが、今年はコンテナの土の再生の段階で念入りにヨトウムシの蛹を排除しておいたお陰で、左の写真の様に少なくとも葉は見事に育っているので昨年以上の収穫量が期待できそうです
タマネギについては、葉の高さが最大となる3月に例年に比べ強風が吹き荒れた日が多かった影響がありました。以下の表は拙宅の近く埼玉県所沢市の風速の記録ですが、10m/s以上の強風が吹き荒れた日が多く、2月まで順調に育っていたタマネギは右の写真の様に全て倒伏してしまいました
その後、倒れた茎は元に戻らず残念ながら生育はそこで止まってしまったようです。ただ、今年はペコロスとして密植して育てたタマネギを含めると最終的にはかなり沢山収穫できそうです。因みに、ペコロス栽培を行った標準コンテナ9個の内3個のコンテナの試し掘りを行った所、写真の様に大小合わせてかなり育っていました
<大型コンテナの土の再生方法の変更>
年々体力の衰えを実感しつつあり、大型コンテナの土の再生が重荷となってきました。そこで、昨年後半からは土を運ぶバケツのサイズを小さくするとともに、コンテナの底に多少土を残したままにし、この土に堆肥・化成肥料を混ぜて、この上に自宅の木々が撒き散らした枯葉を乗せ、その上に再生した土を追加する方法に変えました。これにより腰の負担がかなり軽減されると共に、歩く距離は逆に増加し、運動不足の解消に役立つようになりました
<各種夏野菜の種まき、育苗、植付>
1.夏野菜の王様:トマト(中型、大型)、ナス(中ナス、小ナス、水ナス)キューリの栽培
もうかなり以前から夏野菜のうち、出来るだけ早く苗を育てる必要があるものは、1月後半から室内にある発芽器(大型コンテナに水を入れ、熱帯魚用のヒーターで28℃前後に温め、これにトレーを浮かべて発芽させる装置)に育苗ポッドに種をまきトレーに乗せて発芽させます
発芽した苗は、屋上に設置した育苗器(室内同様の装置+発泡スチロールによる断熱)で出来る限り日光に晒すことにより育苗を促進します。この育苗器は、夜間及び気温の低い日は温度が下がらない様に上に透明のカバーを掛けます
苗がある程度成長し、夜間の低温に耐えられそうになったら、左の写真の様な簡単なビニールハウスに移し、大型コンテナに移すことができるまで育てます。尚、この時は育てた苗を育苗ポッドのまま標準コンテナの土に埋め込んで育てます(水やり忘れによる枯死、成長遅れを防ぐため)。4月に入ってから、こうして育てた苗を大型コンテナに植え付けました。現在順調に育っています
新しい試み;
昨年(2023年8月)報告したブログ(酷暑の中の野菜栽培)で、記録的な酷暑の中でキューリが7月中旬に全て枯死してしまったことを報告しました。8月中に苗を購入し再挑戦したものの、十分な収穫が得られませんでした。最近は、自宅周辺でキューリの露地栽培は行われておらず、全てビニール栽培になっているのも頷ける気がします
今後も温暖化の傾向は続くことが予想されるところから、今年は屋上栽培でも下記の様に予めできる限りの対応を行う事にしました;
a)気温の上昇に合わせ、何時でも「遮光ネット」を使えるようにすること
b)キューリの根は、地表近くにあることから、地表面に「ワラ」を敷くこと
c)最高温度になる時間帯は12時~15時と思われることから、南南東向きとなるペントハウスの壁に沿って植える
おまけ!;
毎年苗を育てる過程で、最後に一鉢に2本の苗が育ち、最後に泣く泣く引き抜いて捨てていましたが、年々自分の死が間近に迫ってくる?と可哀そうになり、今年はトマトとナスについて引き抜いた苗をもう一度植えなおしてみました。何と!全ての苗が生き残り立派な苗に育ちつつあります
ここまで育った苗は勿論捨てるに忍びなく、苗を貰ってくれる人も近所にはいないことから、この後も中型コンテナで小さく育ててみようかと考えていますが、屋上の狭いエリアにどう配置するか、、、
2.縞ウリ、オクラ、ズッキーニ(我が家の定番夏野菜)
これらについても、トマト、ナス、キューリと同じように種から発芽器、育苗器、ビニールハウスを経て育てました。大型コンテナに移しても今の所順調に育っています
<その他の野菜類の栽培>
これまで何回も植えて実績のある野菜類についても、我が家の消費量に合わせて今年も植え付けております
1.豆類:枝豆、つる無しインゲン、3尺エンドウ、絹サヤエンドウ
これらはいずれもコンテナに直接種を撒きます。注意点は発芽してちょっと成長するまで鳥に食べられない様に不織布で覆っておく必要があります(拙宅では野鳥のえさ場を設けて毎朝餌をあげているので屋上が鳥の中継場所になっています。冬場のキャベツ、白菜の一部も毎年被害にあっています)
現在の生育状況は以下の通りです;
2.長ネギ
昨年末(2023年12月)報告したブログ(秋冬野菜の現況と一年間のレビュー)で、秋に植えたネギの生育が遅れ、我が家で重要な供給責任が果たせなかったことを書きましたが、この時細かったネギは現在以下の様に成長しており、近いうちに供給責任が果たせそうです;
尚、大型のコンテナについては、このまま土を足していけば白い茎の長いネギになりますが、中型、及び標準のコンテナについては、茎の部分を何らかの方法(SNS情報によれば新聞紙でもいいと書いてありました)で覆って、光を通さないようにして、もう暫く育てる必要があります。近々その方法を考えたいと思っています
3.その他諸々の野菜;
① 冬の間自作のビニールハウス?で栽培して生き残っているハーブ(各種のミント、レモンバーム、ミツバ、ディル、パセリ、オレガノ、チャイブ);
昨年から栽培を始めたハーブはオレガノとチャイブです。今の季節はチャイブの花が咲いています。チャイブはネギ類に属するハーブなのでネギ坊主の様な花ですが、紫色で大変美しく、切り取って卓上に飾っています
大好きなイタリアン料理で欠かせないバジルは、現在居間の出窓で利用可能になっていますが、新しく屋外栽培用に種を撒いたものは現在発芽した所です
② 春大根
久しぶりに春大根を栽培してみました。やや大型で深いコンテナが3ヶ空いていたので、ここに18本の春大根を育て、途中9本間引き(大根の直径5センチ程度)、その後3本収穫し(大根の直径8センチ程度)、現在の栽培状況は右の写真の通りですが、残っている6本は現在売られている大根程度には育ちそうです;
③ 20日大根、サニーレタス、レタス、水菜
これらは、最近ほぼ毎食生野菜として食べています。従って、常に切らさない様に栽培しています
写真右上は、20日大根(白カブ、赤カブ)を育ててている様子です。簡単に発芽し根も浅いので、収穫後にコンテナの土を再生するのは手間なので、同じ中型のコンテナで収穫しながら種を撒き、次の収穫に備えるという方法を始めてみました。収穫が終わる頃には次の株が収穫できるという具合です。20日大根ならではの栽培法です
<肥料についての実験>
ホームセンターに行くと、肥料の中に「ぼかし肥料」というものが売られています。通常の化成肥料よりも値段が張ることもあり、何だか効果がありそうな気がしたので調べてみました
拙宅ではコメは玄米を使っているので「米ぬか」が沢山あります。また、顆粒出汁を使うのは私だけで、ワイフや料理の得意な同居の息子は、常に昆布と鰹節を使って出汁を取るので、乾燥した「出汁ガラ」が沢山でます(昆布のほうは最終的に食べるのでガラは残らない)。また、数年来、大型トマト栽培でカルシウム不足に伴う「尻腐れ病」に悩ませられていましたので、毎日消費する「卵の殻」を肥料にできないか考えていました
そこで、これらの米ぬかや出汁ガラ、卵の殻の肥料成分を調べてみました;
① 米ぬかの成分は、窒素分2〜2.5%、リン酸4〜6%、カリ分1〜1.2%ほどの配合で成り立っており、他にもミネラルやビタミンも豊富です。 これらの栄養分は有機肥料として、そのまま植物への栄養になり、とくに窒素分は植物の茎葉に、リン酸は花の成長に効果があります
② 鰹節にはアミノ酸が含まれており、 根や微生物の働きで徐々に分解されていきます。成分としては、窒素 7% リン酸 4% カリ 1%と言われています
③ 「卵の殻」は、土の酸度(pH)の調整に役立ちます。日本は降雨量が多く、雨は酸性(酸性雨)なので、雨が降り注ぐ畑の土は酸性に傾きやすい傾向があります。多くの野菜は、pH5.5~7.0の弱酸性から中性の土壌を好みます
卵の殻は主に炭酸カルシウムで構成されており、植物の細胞壁の形成、光合成、栄養素の輸送、および植物ホルモンの生成に必要な重要な栄養素です。 カルシウム不足は、植物の成長を妨げ、特に果実の形成を阻害します
私が屋上栽培で使っている化成肥料は、8-8-8などとハイフンで区切られて大きく数字が表示してありますが、この数字はその化成肥料に含まれる、窒素、リン酸、カリの重量含有率を表しています。 8-8-8ならば、窒素8%、リン酸8%、カリ8%であり、「米ぬか」、「出汁ガラ」、「卵の殻」の肥料成分は化成肥料と同等以上の効果がありそうです
ただ、「ぼかし肥料」の説明にある様に、効果を十分に出すにはこれらの有機物を発酵させなければならないようです。素人が発酵まで手を出すのは無理なので、今回はトマトとナスにこの三種の有機肥料を施し、効果を確かめて見ることにしました。結果はどうなることやら、、、
以上