生命力溢れる野菜たち

屋上菜園で自給を目指す為には、出来るだけ多品種の野菜を栽培する必要があります。また、収穫後の用土の再生は手間がかかりますので、栽培サイクルを減らすことが重要になります。この条件を勘案すると、一回の栽培で何回も収穫できる“生命力あふれる野菜たち”は屋上野菜の優等生ということになります。

上の写真にある“ニラ”は最優等生です。拙宅では、餃子、豚肉/レバー・ニラ炒め、ニラせんべい(余りご飯・小麦粉・ニラのざく切り・味噌に水を加えて捏ね、フライパンで焼く。戦後食糧事情が悪い時によく作られました)、みそ汁の具、等で多用されていますが、年間を通じて(冬期間の収穫は無理)標準型の小さなコンテナ3ヶで十分足りています。標準のコンテナで3ヶ所ぐらいに小さくまとめて植え付け、収穫はこの単位で根元からカットすれば立派に再生します。追肥は適宜実施しますが、再生を繰り返すと葉がだんだん細くなって来ますのでこの時が植え替えのタイミング(1年~2年)になります。

普通では考えられないことですが、拙宅屋上ではセロリも同じように春に植えたものを冬を越して1年間利用しています。

DSC_0225
1年もののセロリ

セロリは茎の部分を食べるのが普通ですが、拙宅ではこの茎と葉を細かく刻んで薬味にしたり、肉類の料理でアクを取る野菜として活用しております。写真の様に株はかなり大きくなりますので、大型のコンテナに2株程度植えつけます。

12月~2月の冬の期間は吹き曝しの屋上では野菜の種類は限られます。鍋物や漬物に欠かせない白菜は勿論栽培いたしますが、これは収穫した後の再生は期待できません。一方、以下の野菜は簡単な保温カバーをすれば、根元でカットしたあと何回も再生させることができます(勿論追肥は必要です)。

DSC_0223
水菜_4月末に種まきしたもの

上記写真は4月末に種まきした水菜ですが、昨年10月末に種まきした水菜は12月~3月上旬まで何度も収穫⇒再生を繰り返しました。鍋や漬物に大活躍しましたが、標準型の小さなコンテナ3ヶで十分でした。3月後半から水菜は沢山の黄色の花をつけますが、これは春の息吹を感じさせる切り花としても活用できます。

DSC_0223
サニーレタス_4月末に種まきしたもの

また、サニーレタスも何度でも収穫⇒再生を繰り返す生命力旺盛な野菜です。冬の朝食用生野菜として大活躍しましたが、これも標準型の小さなコンテナ3ヶで拙宅の需要を十分に賄ってくれました。冬用としての種まき時期、栽培方法は水菜と同じです。因みに、昨年種まきしたサニーレタスは12月以降収穫を開始しますが、その後5ヶ月間以上に亘って活躍したサニーレタスの株は以下の写真の様な姿になっています。なんだな愛おしいですね!

DSC_0224
サニーレタス_5月17日の姿

尚、葉野菜に共通して言えることですが、種をまいてから収穫するまでに、私の場合2回ほど間引きをします。売られている種子の発芽率(裏面に書いてある)は75%以上が普通なので、一株を育てるのに3~5粒で十分のはず。双葉が出そろった頃に一回目の間引きで2~3株に減らし、ある程度の大きさになってから2回目の間引きを行って一株にします;

DSC_0223
サニーレタス_5月18日に間引きしたもの

上記の写真は2回目の間引きで収穫したサニーレタスです。食用に十分に耐えることはお分かりいただけると思います。

以上

 

夏野菜の発芽・育苗の工夫_②

前回の投稿で発芽させた苗は、未だひ弱で、外気温も低いので屋上のコンテナにすぐに植えつける訳にはいきません。そこで、居間の出窓を使って(上記写真参照)数週間育苗します。

育苗の為の温度管理については、夜でも10℃程度には保たれているので問題は無いのですが、出窓である為に日照時間が十分確保できません。従って2年前から夜間は下記の写真のような自作のLED照明を行って日照時間の不足を補っています。

自作のLED照明装置
自作のLED照明装置

この照明装置も最初は普通の蛍光灯で行っていましたが、どうも生育が思わしくありませんでした。そこで農工大出身の博士である義弟に相談したところ、植物に必要な光は緑以外の光とのこと、何故なら殆どの植物の葉が緑色をしているのは、緑色を反射して緑色以外の光を取り入れているから。そこで考え付いたのは赤色と青色のLEDを使って照明装置を作ることでした。

小学校時代から秋葉原に通っていた“電気少年”の私は、早速秋葉原に出かけて、3ワットの強力LEDを40ヶ、LED駆動に必要な電圧レギュレーターを40ヶ、10センチx20センチのアルミ板を4枚、12ボルト/5アンペアの電源アダプター(パソコン用の中古品)を4ヶ購入(全て込みで13,460円)し製作に入りました。穴あけ、配線、等を含めて正味2日間ほどかかりましたが、上記の写真の装置を完成いたしました。全体として3ワットx40ヶ=120ワットの消費電力ですが、熱の発生も少なく結構効率の良い照明になっているのではないかと思っています。勿論、プロの使う植物工場用のLEDは栽培する植物に最も適した波長の光を出すLEDを使っていると思いますが、2年間の運用実績で、私の装置でも蛍光灯よりも相当生育が良くなっており、私なりに満足しています。

屋上のコンテナへの植え付け
屋上のコンテナへの植え付け

4月10日に屋上のコンテナに植え付けました(上の写真参照)。屋上は風が強く、また夜間、早朝は冷え込むこともあるので、暫くは苗の周りに“囲い”をします。この“囲い”は、コンビニの買い物袋の上下をカットし筒状になったものを、細い支柱3ヶ所で取り付けてあります。この“囲い”は弱いようでも、最近の春の嵐(風速15メートル以上)にも耐えていますのでバカになりません!

以上

夏野菜の発芽・育苗の工夫_①

普通素人が夏野菜を育てる場合、ホームセンター等で苗を購入してその植え付けから始める人が多いのですが、私の場合は屋上菜園を始めた当初から「種」からの栽培を目指しました。理由は、“野菜の一生”を観たいことと、苗としては手に入りにくい野菜(外国の野菜、日本の他の地方の野菜、など)を育てたかったからです。

夏野菜を種から育てる場合の最大の難関は、気温が低い春先に「発芽温度」を如何にして確保するかという点にあります。プロは温室を使って簡単にこの条件をクリアーしますが、素人の場合は発芽温度をコントロールできる温室など望むべくもありません。ただ私が最初にトライしたの以下の写真の様な自作の温室です;

自作の温室
自作の温室

角の柱に電気コードが這っているのでお分かりの様に、温室の中には温度コントロール式電気ヒーターと温風循環用の送風機(パソコン用のジャンク品)を設置しています。また保温を効率的にするために厚い発泡スチロールの板で囲っております。結果を申し上げると完全な失敗です。失敗の原因は、春先の気温の変化が激しく外気の中で、発芽温度として必要な25℃~30℃を維持するのが不可能だったためです。結果として、素人が夏野菜の「発芽」を成功させるには、下記の様な「発芽・育苗器」が必要であることを実感した次第です;

発芽育苗器_市販
発芽育苗器_市販

この「発芽育苗器」は温度コントロールされた電熱を利用しておりますが、市販価格は安いもので15,000円はします。そこでコストセーブを旨とする私としては、市販品を購入することを潔しとせず、最初に掲げた写真の様な自作「発芽器」を考案し、既に3年ほど実用に供しております。見事に発芽するので自画自賛している次第です。因みに構成部品とその価格は以下の通りです;

1.全体を収納しているケース:これはホームセンターでよく売られているプラスティックの「ストッカーです」 価格は大きさによりますが写真にある大きなもので、2,000円程度です。これにたっぷりの水(80%位の水位)を入れます

2.温度コントロール付きのヒーター:上記の水を25℃~30℃の「発芽温度」となるよう温める熱帯魚水槽用のヒーターです。価格は1,500円程度です。

3.苗を育てるポットを入れるトレー:100円ショップで売っているプラスティック・トレーです。消費税込みで105円/1個。上の写真ではポットを入れたトレーを3つ浮かべてあります。

この自作「発芽器」を窓際に置き、温度を30℃にセットして使っておりますが、種を植えたポットは24時間発芽温度を維持しています。これで種の種類により異なりますが、数日から10日ぐらいで発芽させることができます。上の写真ではプラスティック・ストッカーの蓋(右側)に銀色のシートが張ってありますが、これは日中窓からの光と熱を効率的に取り込み電力使用量を節約するための工夫です。また、夜間には蓋を閉めることにより、更に電力使用量を節約することができます。

注意事項:ポットの乾燥に注意すること。30℃くらいに保温しているので、毎日乾燥状態をチェックし、乾燥していれば給水すること。但し、過剰な給水は茎の徒長を招くので要注意!

次回の投稿では、これで発芽させたポットを、室内のベランダで立派な苗に育てる方法を報告します